調理師免許における実務経験のごまかしのリスクや具体的な要件を解説
- 調理師免許を取得するには、実務経験を積んで試験に合格するという方法もあります。実際に、専門学校で学ばずに実務経験を積んでから、調理師として活躍している人は少なくありません。
この記事では、調理師免許を取得するために必要な実務経験の要件について解説します。実務経験のごまかしのリスクについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
調理師免許を取得するメリット
- 調理師免許を取得すれば、調理に関わる求人に応募した際に高く評価される可能性があります。食に関する専門知識について客観的に証明できるため、調理を安心して任せられると判断されやすいです。また、調理師免許を取得すれば、自分が携わる飲食店の信頼を向上させる効果も期待できます。
調理師免許の取得方法
- どうすれば調理師免許を取得できるのでしょうか。ここでは、調理師免許の取得方法について解説します。
調理師養成施設を卒業する
- 都道府県知事が指定している調理師養成施設を卒業し、調理師免許を取得する方法があります。必要な単位を取得して卒業すれば、試験を受けずに調理師免許を取得可能です。
調理師養成施設に入学すると調理について体系的に学べるため、確かな知識やスキルを身につけたい人におすすめです。調理師養成施設には、専門学校や大学などがあります。学校によって修業年数が異なり、専門学校は最短1年で調理師免許を取得できます。
実務経験を積んで試験に合格する
- 学校で調理について専門的に学ばなくても、仕事で一定以上の実務経験を積めば調理師試験を受験できます。調理師試験を受験するには、原則として調理業務に週4日以上かつ1日6時間以上従事し、2年以上経過している必要があります。職場から発行される調理業務従事証明書により、実務経験の証明が可能です。
調理師免許の取り方についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
主婦の調理師免許の取り方|取得のメリットや勉強方法・試験概要も解説
なお、調理師の実務経験は指定されているいずれかの施設で積まなければなりません。詳細については後述します。
調理師免許において実務経験のごまかしはリスク大
- 調理師試験を受けるために必要な実務経験のごまかしには、大きなリスクがあります。刑法157条2項では「公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。」と定められています。そのため、実務経験をごまかして試験を受けて調理師免許を取得すれば、罪に問われる可能性が高いです。
また、調理師法の定めにより、罰金以上の刑を科されると調理師免許を取得できません。免許を取得した後に、ごまかしが発覚して罰金以上の刑が確定した場合、免許は剥奪されます。
※引用:刑法157条2項
※参考:調理師法
「嘘の証明書」でちゃっかり資格試験に「合格」 実務経験のでっち上げは犯罪か?-弁護士ドットコムニュース
調理師の実務経験として認められる施設
- 調理師試験に必要な実務経験を積める施設には、一定の基準があります。ここでは、具体的にどのような施設が該当するか解説します。
飲食店営業
- 飲食店営業に該当する店舗は、食堂、居酒屋、チェーン展開している飲食店などです。旅館や簡易宿泊所で調理業務を経験した場合も、調理師免許の受験資格として認められます。
ただし、飲食店営業と喫茶店営業は別物であり、喫茶店営業は調理の実務経験にはなりません。カフェで実務経験を積む場合は、飲食店営業許可と喫茶店営業許可のどちらを取得しているか確認が必要です。
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魚介類販売業
- 魚介類販売業には、鮮魚店やスーパーの鮮魚売り場などが該当します。店舗を設けて魚介類を販売する営業です。魚介類販売業で魚介類をおろしたり加工したりする仕事を担当すれば、調理師の実務経験として認められます。ただし、鮮魚店やスーパーの鮮魚売り場などで働いていても、販売のみなら調理師の実務経験にはならないため、注意しましょう。
そうざい製造業・複合型そうざい製造業
- そうざい製造業とは、煮物、揚げ物、蒸し物、酢の物、和え物などを製造する営業です。また、複合型そうざい製造業とは、これらの食品とともに米飯やパンなどを組み合わせて製造する営業です。たとえば、スーパーのそうざいコーナーや弁当屋などが該当します。ただし、食肉製品製造、魚肉ねり製品製造業、豆腐製造業などは含まれません。
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寄宿舎・学校・病院などの給食施設
- 寄宿舎・学校・病院などで食事を提供する給食施設においても、調理師試験を受けるための実務経験を積めます。実務経験として認められるには、1回20食以上または1日50食以上の飲食物を調理して継続的に提供している必要があります。飲食物を複数人のために提供していても、1回15食や10食のみなら対象外です。
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給食調理員の仕事内容について、より詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
給食調理員の仕事はきつい?仕事内容や向いている人について解説
アルバイトやパートでも調理師の実務経験として認められる?
- 調理師の実務経験は、雇用形態にかかわらず積めます。アルバイトやパートでも、原則週4日以上かつ1日6時間以上勤務していれば、調理師試験を受けるために必要な実務経験を得られます。正社員でなくても問題ないため、自分に合う働き方で調理師の資格取得を目指しましょう。
調理業務として認められていない業務・職歴とは
- 調理に関連する仕事の経験があっても、調理業務として認められないものもあります。以下で、具体的に解説します。
調理業務して認められない業務
- 食品に関わるものの、調理師試験に必要な実務経験として認められない業務もあります。具体的には、以下のとおりです。
- 喫茶店営業とは、酒類以外の飲料や茶菓などを提供する営業です。パンや菓子などの製造や畜肉の解体なども、調理業務として認められません。簡易な飲食店営業とは、米の炊飯や冷凍のパン生地の焼成などを行う営業があげられます。
職歴として認められない職歴
- 栄養士、保育士、看護師、ホームへルパーなどの職種で採用されている場合は、調理師試験の受験資格を満たせません。ただし、通常の勤務体系において調理業務をメインに対応している場合は、受験資格として認められる可能性があります。また、食品衛生法で定められている営業許可がない施設で実務経験を積んでも、調理師試験の受験資格に該当しません。
そのほかの調理師試験の受験資格として認められない職歴は、調理技術技能センターの公式サイトで確認しましょう。
※参考:調理師試験について|調理技術技能センター
実務経験を証明する調理業務従事証明書について
- 調理業務の実務経験を証明するには、調理業務従事証明書の提出が必要です。調理師試験の受験を申請する際に用意する必要があります。ここでは、調理業務従事証明書について詳しく解説します。
原則として勤務先の施設長・代表者の証明が必須
- 実務経験の証明に必要な調理業務従事証明書は、原則として勤務先の施設長・代表者が作成する必要があります。本人による作成は不可であり、調理業務従事証明書には証明者を表す押印が必要です。
ただし、以下に該当する場合は、飲食店関係団体の長や同業種の施設長などの第三者が調理業務従事証明書を作成しても構いません。
複数の施設で働いた場合は各施設での証明が必要
- 複数の施設で調理業務を経験し、通算2年以上になった場合は、それぞれの施設長や代表者に調理業務従事証明書を作成してもらう必要があります。用紙は必要な枚数分コピーして使用すれば問題ありません。
過去の実務経験でも申請でき有効期限はない
- 調理師試験を受けるために必要な調理業務の実務経験は、時期に制限がありません。そのため、過去に実務経験を積んでいる場合も申請は可能です。ただし、過去に実務経験を積んだ施設の施設長・代表者に依頼し、調理業務従事証明書を作成してもらう必要があります。
また、書類の様式は最新版を使用する必要がありますが、作成された調理業務従事証明書そのものに有効期限はありません。
調理師試験で押さえておきたいポイント
- ここでは、調理師試験の内容や難易度など、事前に押さえておきたいポイントを解説します。
試験内容
- 調理師試験の科目は、公衆衛生学、食品学、栄養学、食品衛生学、調理理論、食文化概論です。全部で60問出題され、マークシートによる四肢択一方式で回答が求められます。調理に関わる幅広い知識について問われます。
試験の難易度
- 調理師試験に合格するには、満点の6割以上を獲得する必要があります。令和4年度の調理師試験の結果をみると、たとえば東京都の合格率は65.7%でした。全国平均は65.4%です。難易度がそれほど高いわけではないため、試験に向けて勉強に励めば十分合格を目指せます。
※参考:令和4年度 調理師試験実施状況
試験対策のコツ
- 調理師試験の対策においては過去の出題傾向を把握し、頻出の問題で確実に得点できるようにすることが大切です。調理技術技能センターの公式サイトでは、過去問が公表されています。繰り返し過去問を解き、出題傾向をつかみましょう。また、通信教育講座を利用すれば、合格するために必要な知識を効率的に身につけられます。
調理師の仕事を探すならシフトワークス
- 調理師として働きたい場合や、調理師になるために実務経験を積みたい場合は、シフトワークスで仕事探しをしましょう。シフトワークスは時間と曜日をもとに仕事を検索でき、自分が求める働き方にマッチする求人をスムーズに見つけられます。日本全国のアルバイトやパートの求人を幅広く扱っており、幅広い条件で検索が可能です。
シフトワークス
まとめ
- 試験を受けて調理師免許を取得するには、2年以上の実務経験が必要です。実務経験をごまかして調理師免許を取得すれば、罪に問われる可能性があります。免許が剥奪される恐れもあるため、ごまかしによる受験は避けましょう。
働く施設や業務内容の条件を満たしていれば、アルバイトやパートでも試験に必要な実務経験を積むことが可能です。正社員の調理師を目指す場合も、まずはアルバイトやパートからチャレンジする方法もあります。
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