扶養内でバイトできるのはいくらまで?収入の条件などを解説
- 扶養内とは、社会保険または税制において、負担を減らすための基準です。扶養内でバイトするには、収入をいくらまでに抑えるべきか正確に把握しておく必要があります。
この記事では、扶養内でバイトするにあたり、働き損をしないために知っておきたい条件を解説します。無駄なくバイトをするために、ぜひ役立ててください。
- バイトにおいて「扶養内」という場合、どのようなことを意味するのでしょうか。ここでは、扶養の意味を解説します。
- 社会保険における扶養
社会保険における扶養とは、配偶者が勤めている会社の社会保険の扶養に入ることを表しています。たとえば、夫の勤め先の社会保険に妻が扶養として入れば、妻は国民年金や健康保険の保険料を負担しなくて済みます。また、夫の負担も変わりません。
なお、バイトをしている学生も、親の社会保険の扶養に入れますが、対象は健康保険のみです。20歳以上になれば、基本的に国民年金保険料の負担が必須となります。
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- 税制上の扶養
税制上の扶養とは、配偶者控除・配偶者特別控除のことです。夫が妻を扶養に入れる場合、条件を満たせば配偶者控除・配偶者特別控除が適用されます。それにより、夫の所得税や住民税が免除される仕組みです。
妻の年収が150万円以下なら、満額で控除を受けられます。妻の年収が上がるにつれて、控除額が徐々に減っていきます。また、学生が親の扶養に入る場合、税制上で扶養内になる上限は、年収103万円以下です。
- 扶養控除は所得控除の一種です。所得控除とは、所得税や住民税の計算において納税者の個人的な事情考慮し、税金の負担を軽減する制度です。
たとえば、給与所得者の所得税を計算する際は、まず収入から給与所得控除を差し引いて所得金額を計算します。さらに、計算した所得金額から所得控除を差し引き、課税所得を求めます。所得税額は、課税所得に税率をかけた金額です。
- 扶養控除が適用される条件
扶養控除は、その年の12月31日の年齢が16歳以上である人が対象です。また、以下の条件もすべて満たしている必要があります。
・配偶者以外の親族、養育を委託された児童、市町村長から養護を委託された老人
・納税者と生計を一にしている
・年間の合計所得金額が48万円以下である
・青色専従者として給与を支払われていない(もしくは白色申告者の事業専従者でない)
配偶者以外の親族とは、6親等内の血族および3親等内の姻族をさしています。年間の合計所得金額の条件は、令和元年分以前は38万円以下でしたが、現在では48万円以とされています。また、所得金額とは、1月1日から12日31日までに得た所得のことです。
- 家族別の控除額
扶養控除が適用された場合、税金の負担が少なくなります。ただし、扶養控除の金額は、家族の年齢や同居の有無などの条件によって異なるため、注意が必要です。一般の控除対象扶養親族、特定扶養親族、老人扶養親族について所得税と住民税の控除額をまとめると、以下のとおりです。
- なお、それぞれの親族は年齢によって定義されており、その年12月31日現在の年齢が、以下のとおりである必要があります。
・控除対象扶養親族: 16歳以上
・特定扶養親族: 19歳以上23歳未満
・老人扶養親族: 70歳以上
控除額については、今後引き下げになる可能性もあるため、最新の動向に注意が必要です。
- 扶養内でバイトできる年収は、どの程度なのでしょうか。以下で詳しく解説します。
- 税制上は年収103万円以下
すでに触れたとおり、バイトの年収が103万円以下なら、税制上で扶養内となります。月収に換算すると、約8.5万円以下に抑えれば問題ありません。たとえば、時給1,200円のバイトなら、1日4時間、月17日働くと扶養内に収められます。
なお、税制上の年収103万円以下において、交通費や通勤手当などは含まれていません。バイト先から、交通費や通勤手当などが支払われている場合は、除外して計算しましょう。
- 年収は1月から12月までに支払われた給料の合計金額
バイトで扶養内について考える場合、年収は1月から12月までの間に実際に支払われた給料を合計した金額です。そのため、12月に働いた分の給料が1月に支払われるなら、翌年の年収の計算に含めます。実際に、手元に入ってきた収入をもとに計算する必要があるため、注意しましょう。
- バイトの年収が103万円を超えると、どのような事態になるのでしょうか。ここでは、具体的に何が起きるか解説します。
- 扶養者が負担する税金が上がる
バイトの年収が、103万円を超えれば税制上の扶養から外れるため、扶養者は控除対象者親族や特定扶養親族の控除を受けられなくなります。それまでと比較して控除額が少なくなり、結果として所得税の負担が大きくなります。
バイトをすれば本人の年収は必ず増えるものの、税制上の扶養から外れると世帯全体の手取りは、減る可能性がある点に要注意です。世帯全体の手取りが減れば、日頃の生活にかけられるお金も少なくなります。減る金額や家庭の状況にもよりますが、バイトで103万円よりも高額を稼ぐ場合は、気をつけましょう。
- 所得税が発生する
バイトをすると、所得税が発生する可能性があります。所得税とは、1年間に発生した所得に対してかかる税金です。収入から控除分を差し引いた金額が所得となります。
所得税の課税対象となる所得は、年間の所得のうち103万円を超えた分です。年間の所得が195万円以下の場合、所得税の税率は5%です。そのため、それほど大きな負担にはなりません。ただし、所得税が発生すればその分だけ着実に手取りが減るため、注意が必要です。
130万円以上になると社会保険料を支払うことになる
- バイト代として年収130万円以上を得れば、税金だけでなく社会保険料の負担も発生します。社会保険の扶養から外れ、バイトしている本人が、自分の勤務先で社会保険に加入する必要があるからです。社会保険への加入が必要かどうかは、勤務日数や時間数などによって決まります。
社会保険に加入すると、医療給付の充実や年金の増加などのメリットもあります。そのため、自ら社会保険に加入したいと考える人もいるでしょう。ただし、社会保険に加入すれば、保険料が給料から毎月天引きされ、その分だけ手取り額が少なくなります。バイト先の社会保険に加入したい場合、国民健康保険と国民年金の両方に、加入する必要があります。
- 勤労学生控除とは、働いている学生の所得税や住民税を軽減するための制度です。条件を満たせば、非課税になる基準が年収130万円以下となります。勤労学生控除を受けるための条件は、働いて給与所得などを得ており、合計所得金額が75万円以下かつ勤労以外の所得が10万円以下であることです。また、特定の学校の学生である必要があります。
ただし、勤労学生控除の適用により本人が非課税になっても、親の扶養からは外れるため、親の所得税や住民税は高くなる可能性があります。
- バイトの給料は源泉徴収が行われており、支払いすぎた税金が戻ってくる可能性もあります。還付の方法は年末調整と確定申告があるため、それぞれについて解説します。
- 年末調整による還付
年末調整は、年末頃にバイト先で行われます。所得税分の金額が毎月の給料から天引きされているため、年末に実際の所得税額を計算したうえで年末調整を行い、過不足を相殺します。実際の所得税額よりも多く天引きされていれば、年末調整により還付される仕組みです。反対に、天引きされた額が実際の所得税額より少ないと、不足分が改めて天引きされます。
年末調整で、還付と天引きのどちらが行われるかは状況によって異なるため、明細をよく確認しましょう。
年末調整についての記事はこちら
- 確定申告による還付
バイトで働いていれば、基本的にはバイト先による年末調整で税金への対応は完了します。しかし、年末を迎える前にバイトを辞めた場合、年末調整を受けられないため、自分で確定申告する必要があります。また、バイトを掛け持ちしている場合も、すべてのバイト代の合計で最終的な税額が決まるため、自ら確定申告しなければなりません。
確定申告する際は、バイト先の年間の給与が分かる源泉徴収票を用意し、確定申告書とともに提出しましょう。バイトを辞めた後でも、依頼すれば源泉徴収票を発行してもらえます。
確定申告についての記事はこちら
- 扶養内でバイトがしたいと考える人は多いです。扶養には社会保険上の税制上の扶養があり、それぞれの内容や基準を理解する必要があります。稼ぎすぎると扶養から外れる可能性があるため、シフトを決める際は調整が必要です。
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