扶養内パートの働き方を選択するメリットは?パートの定義や向いている人についても解説
- パートで働くことを検討している人のなかには、扶養内で働きたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、パートとして扶養内で働きたいと考えている人に向けて、パートの定義や向いている人、扶養内パートの働き方を選択するメリット・デメリットなどを解説します。扶養内パートの注意点も解説するため、参考にしてください。
- パートとは、「part-time(パートタイム)」を略した言葉です。意味としては、正規の労働時間(正社員の定時)よりも日・週・月あたりで短いもの、つまり短時間で働く人のことを指します。対義語としては「Full-time(フルタイム)」があり、こちらは正規の労働時間で働く人のことです。
パートと似た働き方にアルバイトがありますが、正確にはパートは短時間労働者を指し、アルバイトは臨時に雇用されている人を指します。
- パートに向いている人
パートは前述したとおり、労働時間が正社員などと比較して短時間です。そのため、家事や育児、介護などによりフルタイムで決まった曜日に働くことが難しい人にも向いています。
また、早朝や昼間などのスキマ時間に働きたい人、同世帯で生計を立てている人がおり補助として短時間働きたいと思っている人などの多くがパートを選択します。
- パートとして働く際に気になるポイントが、「扶養」です。ここでは、扶養控除や扶養内の考え方について解説します。
- 税制上の扶養とは?
税制上の扶養とは、世帯主が収入の少ない家族を経済的に支えるためのものです。収入の少ない配偶者などを扶養に入れることで、所得税や住民税の控除が受けられるため支払うべき税金を抑えられるという仕組みです。
- 社会保険上の扶養とは?
社会保険上の扶養とは、世帯主が加入している社会保険の被扶養者になることです。世帯主の扶養に入ることで、健康保険料や厚生年金といった社会保険料を納める必要がなくなるため、社会保険の負担が軽減されます。
- パートで働く場合には、年収の壁についてしっかりと把握しておきましょう。ここでは、年収の壁について詳しく解説します。
- 年収の壁とは
年収の壁とは、パートやアルバイトとして働く際に、所得税や住民税といった税金や社会保険料の負担が発生する年収の基準のことです。年収が一定の基準を超えると、住民税や所得税が課せられたり、扶養から外れたりします。年収に応じていくつかの年収の壁があるため、段階的に見ていきましょう。
- 1.年収103万円の壁
年収103万円の壁とは、世帯主が配偶者控除を受けられる年収の上限です。配偶者控除によって、所得税と住民税が軽減されるため節税につながります。年収103万円を超えない場合、最大で38万円の控除が受けられます。
- 2.年収106万円の壁
年収106万円の壁とは、社会保険に関する壁です。年収106万円を超えており、以下の条件に当てはまる場合には勤務先の社会保険へ加入する義務が発生するため、社会保険料を納めなければいけません。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・1か月の給与が8万8,000円を超える
・雇用期間が2か月を超える見込み
・勤務先の従業員が101人以上
・学生ではない
ただし、2024年10月からは従業員数が51人以上の企業まで社会保険の適用範囲が拡大されます。
- 3.年収130万円の壁
年収130万円の壁とは、世帯主の社会保険の扶養を外れる年収の上限です。年収130万円を超えると勤務先の社会保険に加入する、もしくは自分で国民健康保険や国民年金に加入しなければいけません。
- 4.年収150万円の壁
年収150万円の壁とは、配偶者特別控除が受けることができ、世帯主の税金負担が軽減される年収の上限です。年収103万円を超えると配偶者特別控除が受けられますが、満額で受けられるのは年収150万円までです。
- 扶養内パートの働き方を選ぶことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、扶養内パートのメリットを解説します。
- 所得税を負担しなくてよい
扶養内パートの働き方を選択することで、所得税を負担しなくてもよくなります。所得税は、以下の計算式で求められます。
・年収-基礎控除(48万円)-給与所得控除(55万円)=所得
・所得×所定の税率=所得税
基礎控除と給与所得控除を合わせて103万円が年収より差し引かれるため、年収103万円以下であれば所得はゼロになり、所得税はかかりません。
- 年金保険料を支払わずに国民年金がもらえる
年収130万円未満の場合には、国民年金の第3号被保険者となります。そのため、年金保険料を支払う必要がありません。その場合年金保険料を支払わなければ将来年金を受給できないのではと、不安になる人もいるでしょう。
しかし、第3号被保険者となる期間は年金保険料を支払わなくても納付したと見なされるため、将来国民年金が受給できます。
- 扶養手当をもらえるケースもある
場合によっては扶養手当をもらえることもあります。企業によって異なりますが、パート収入が一定の金額を超えなければ、扶養手当や家族手当を支給しているケースもあります。
- 扶養内パートの働き方を選択することで生じるデメリットもあります。ここでは、扶養内パートのデメリットを解説します。
- 給与収入に制限が生じる
扶養内パートとして働く際には、給与収入に制限が生じるためある程度セーブして働かなければいけません。上限をわずかに超えただけでも税金や社会保険料の負担が増え、世帯主の手取りが減ってしまう可能性もあるため注意しましょう。
- 老後にもらえる年金が少なくなる
扶養に入った場合、もらえる年金は少なくなります。扶養の場合は国民年金に限られるため、厚生年金の上乗せがありません。また、第3号被保険者は国民年金基金などの利用もできないため、受給できる年金を増やす術がないのはデメリットです。
- 働き方に制限が生じる
扶養内パートは、扶養内に収まるように働かなければいけないため、勤務日数や時給を抑える必要があります。働き方に制限が生まれるため求人の選択肢が減り、希望するような仕事が見つけられない可能性もあるでしょう。
- 扶養内パートを選択する際には、注意したいポイントが2つあります。ここでは、各注意点を詳しく解説します。
- 扶養内でいるための月の収入上限を把握しておく
まず、扶養内でいるための毎月の収入上限を把握しておきましょう。扶養内でいるための月の収入上限は以下のとおりです。
税法上の収入上限
・月収16万7,500円未満(世帯主の所得が1,000万円以上なら控除は受けられない)
社会保険上の収入上限
・月収8万8,000円未満(2024年10月の法改正までは、従業員数100名以下なら10万8,333円未満)
- 今後の働き方を検討しておく
2024年10月には法改正が行われ、社会保険適用が拡大されます。社会保険適用が拡大されると、扶養内で働く条件が厳しくなることも予想されるでしょう。そのため、今後扶養から外れて収入アップを目指すか、扶養内で働くためにより働き方をセーブするか、今のうちから検討しておくことが重要です。
厚生労働省が発表した「年収の壁・支援強化パッケージ」とは
- 厚生労働省では、2023年9月27日に「年収の壁・支援強化パッケージ」を発表しました。このパッケージは、パートやアルバイトで働く人が106万円、130万円の年収の壁を意識せずに働ける環境づくりを支援する制度です。ここでは、106万円の壁・130万円の壁それぞれへの対応について詳しく解説します。
- 106万円の壁への対応
106万円の壁への対応として、手当金等支給メニューが挙げられます。この制度は従業員の手取りが減らないように賃金アップ、手当を支給した場合に助成が受けられるものです。1年目と2年目は企業が従業員の手取りを減らさないようにするための手当である「社会保険適用促進手当」の支給も助成の対象になります。
労働時間延長メニューもあり、この制度では週の所定労働時間を4時間以上延長、または賃金を増やし1~4時間未満延長した場合に助成が受けられます。
- 103万円の壁への対応
繁忙期に残業などで労働時間が増えたなどの理由により、収入が一時的に上がった場合でも、事業主がその旨を証明することで、扶養から外れなくても済むようにする仕組みづくりが挙げられます。ただし、この場合一時的に収入が上がったことが条件となるため、基本給で130万円を超えている場合は対象外となります。
パートの働き方を検討するなら「シフトワークス」の利用がおすすめ
- パートとして働きたいなら、シフトワークスの利用がおすすめです。ここでは、シフトワークスの特徴を解説します。
- 「シフトワークス」の特徴
シフトワークスは、全国のパートやアルバイトの情報を掲載する求人サイトです。曜日やシフトなどから求人を探せるため、育児や家事、介護などで働ける曜日や時間が決まっている場合にも、希望の仕事を探しやすくなっています。
- 扶養内パートで働く場合には、年収の壁について把握しておくことが重要です。年収によって、住民税や所得税が課せられるか、社会保険への加入が必要かなどは異なります。年収をわずかに超えただけでも税金や社会保険料の負担が増えるため、注意しましょう。
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