パートで離婚すると国民健康保険や年金はいくらになる?手続きや注意点を解説

  • パートのなかには、配偶者の扶養に入りながらパートをしている人も、多くいます。国民健康保険や年金は、配偶者の所属する会社が支払うため、本人の負担はありません。しかし、万が一離婚した場合は、年金や健康保険に関する手続きが必要です。この記事では、パートをしている人が離婚した場合に、健康保険や年金がどうなるかについて詳しく解説します。


パートが離婚をすると、国民健康保険はいくら増えるか


  • 扶養内でパート勤務している際に離婚した場合、配偶者との扶養関係が解消されます。そのため、離婚時には健康保険や年金に関する手続きが必要です。たとえば、扶養に入っている間は、国民年金の第3号被保険者となり、自己負担がないケースも多くあります。

    しかし、離婚に伴い扶養から外れると、国民年金の第3号被保険ではなくなるため、保険料は自分で納付しなければなりません。離婚後に国民健康保険がいくら増えるのかは、パート先で雇用保険に加入するのか、国民保険に加入するのかなど、場合によって異なります。保険の種類やケース別の保険料の違いなどについては、以下で詳しく解説します。


保険の種類


  • 日本には、国民皆保険制度という制度があります。働き方などによって加入する健康保険は2種類あるため、離婚した場合は、どちらかの保険で手続きが必要です。ここでは、2種類の健康保険の種類と、子どもがいる場合の対応について解説します。


  • 国民健康保険
    国民健康保険は、会社に属していない人や年金受給者などでも加入できる健康保険制度です。居住地の自治体によって管理されており、個別に加入手続きが必要となります。扶養制度はないため、国民健康保険に入っている場合に離婚したとしても、保険料や支払い方法に変更はありません。しかし、世帯主や氏名の変更が発生するため、変更手続きが必要です。


  • 社会保険
    社会保険は、企業や自治体に属する人と、その家族が加入できる健康保険制度です。妻または夫が会社員であれば、条件次第で配偶者や子どもも加入でき、保険料の個別負担がなくなります。ただし、離婚などの理由で扶養が外れる場合は、勤務先の企業で社会保険への加入手続きをするか、国民健康保険への加入手続きが必要です。


  • 子どもがいる場合
    離婚によって、子どもが扶養対象ではなくなる場合も、同様に脱退手続きが必要です。そのため、離婚する際の話し合いでは、離婚後に子どもがどちらの世帯に入るかを決めておきましょう。入る世帯によって離婚後の手続きが異なるため、忘れないよう注意が必要です。


離婚時の保険手続きの注意点


  • パートで働きながら離婚による保険手続きが必要になった場合、以下の2点に注意しましょう。


  • 早めに手続きを始める
    離婚後に国民健康保険に加入するなら、14日以内の手続きが必要です。加入手続きが遅れると無保険状態となり、その期間の診察代などは全額自己負担となってしまいます。大きな自己負担が発生しないように、早めに手続きできるよう準備しておきましょう。

    ※参考:国民健康保険の加入・脱退について|厚生労働省


  • 早めに資格喪失証明書を取得する
    離婚によって扶養から外れ、保険加入手続きが必要になる場合は、「資格喪失証明書」が必要です。しかし、書類の取得には時間がかかる場合があるため、注意してください。資格喪失証明書は、扶養する側の会社に依頼する必要があります。申請後、書類作成には5日程度かかるので、余裕をもって依頼しておきましょう。


保険料の支払いが難しい場合


  • 扶養に入りながらパートをしている人は、離婚後は保険料の支払いが難しくなるケースもあるでしょう。以下では、保険料の支払いが難しい場合の対処方法を解説します。


  • 保険料の職場負担の有無を確認する
    離婚後に社会保険に加入すると、健康保険料の半分は会社が負担してくれます。パートを続けるなら、所属している会社に確認してみましょう。すでにパートを辞めていて、就職の予定もない人は、国民健康保険に加入する必要があります。


  • 保険料の免除申請をする
    国民健康保険の保険料は全額自己負担です。しかし、保険料の支払いが難しい場合は役所で保険料の免除申請ができます。免除申請をすると、前年度の所得に応じて全額または一部免除、支払い猶予に区分分けされますが、免除は期間限定です。免除期間終了後の保険料は、自分で支払っていかなければなりません。


年金の種類


  • パートが離婚時に扶養から外れる場合、健康保険だけでなく年金制度にも変更があります。ここでは、年金の種類を見ていきましょう。


  • 国民年金(第1号被保険者)
    国内に在住している20歳から60歳までの自営業の人や学生などは、国民年金(第1号被保険者)に加入します。企業で働いていても、厚生年金に加入していなかったり、配偶者も厚生年金に入っていなかったりする場合は、国民年金への加入が必要です。なお、国民年金には、老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金なども含まれています。


  • 厚生年金(第2号被保険者)
    厚生年金や共済組合に加入している企業で働いている場合、厚生年金に加入します。保険料は労使折半負担となるため、加入者と会社で半分ずつ納付する仕組みとなっており、加入者は給与から天引きされます。パートやバイトなど、正社員以外の雇用形態であっても、条件を満たせば加入可能です。




【種類別】年金の変更手続き方法


  • ここからは、年金の種類に応じた手続き方法を見ていきましょう。


  • 国民年金(第1号被保険者)の場合
    国民年金(第1号被保険者)の場合は、夫婦それぞれ個別に加入しているため、離婚による変更手続きは特に必要ありません。ただし、基礎年金番号とマイナンバーの紐づけができていない場合は、離婚による氏名変更などで役所への届け出が必要です。


  • 厚生年金の場合
    離婚前からパート先で厚生年金に加入している場合、勤務先によって変更手続きの方法が異なります。そのため、離婚が決まったタイミングで、職場への確認が必要です。

    厚生年金についての記事はこちら


  • 国民年金(第3号被保険者)の場合
    厚生年金に加入している配偶者の扶養に入りながらパートをしていた場合は、離婚に伴い、国民年金(第1号被保険者)への変更手続きが必要となります。手続きは、役所の年金担当部署で行うことが可能です。基礎年金番号またはマイナンバーの証明書類、離婚成立日の証明書類、被扶養者資格喪失証明証などの書類が必要となるため、事前に用意しておきましょう。


年金の支払いが難しい場合


  • 国民年金(第3号被保険者)の場合、離婚によって保険料の自己負担が増えるため、支払いが難しくなる可能性があります。未納になると、将来の老齢基礎年金や障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取れなくなる恐れがあるので、対処が必要です。支払いが難しい場合は、免除または納付猶予制度を利用のうえ、後から保険料を納めることもできます。


年金分割制度とは


  • 国民年金(第3号被保険者)の場合、離婚時に年金分割制度が利用できます。年金分割制度とは、扶養期間中に納付されていた厚生年金保険料の一部を、被扶養者となる人の納付記録として残す仕組みです。婚姻中に扶養に入っていて、自身で年金を納付していなかったり、専業主婦であったりした場合は、年金事務所に相談してみましょう。


【ケース別】離婚後の税金・保険料


  • パートで働いている人が離婚すると、婚姻中の働き方や扶養の有無によって税金と保険料に影響があります。


  • 配偶者に扶養されていた場合
    パートで働きながら配偶者の扶養に入っていた場合、離婚をしても税金は増えません。一方、健康保険や年金の保険料は、自己負担となります。扶養中は、配偶者の社会保険や厚生年金で納付されていましたが、離婚後は速やかに移行手続きをして、自身での納付に切り替えなければなりません。


  • 共働きだった場合
    婚姻中に共働きで、夫婦とも社会保険に加入して扶養などには入っていなかった場合、離婚後も税金・保険料ともに影響はありません。ただし、16歳以上の子どもがいる場合、扶養から外れると税金が増えてしまいます。


  • 配偶者を扶養していた場合
    配偶者を扶養していた場合、配偶者控除が使えなくなるため、税金が増えるケースがほとんどです。また、子どもが扶養から外れた場合も、同様に税金が増えます。一方、国民健康保険に加入している場合は、世帯内の加入者数が減るため、保険料が安くなるケースもあります。


離婚後のお金対策


  • パートをしている人が離婚する場合、その後のお金について考えておく必要があります。離婚後のお金対策について解説します。


  • 離婚後に働けるよう準備する
    離婚後に備えるなら、働けるように準備しておきましょう。扶養中は勤務時間や収入が制限されてしまうケースもありますが、離婚後は自由度の高い働き方が可能です。パートを辞めて就職を考えている場合、資格があれば有利になります。介護系や事務系、金融系などの資格は、今後の需要も期待できるため、活用しやすいでしょう。


  • 貯金・資産運用を検討する
    離婚後の生活費のためには、貯金しておくことが重要です。パートで扶養に入っている人は、貯金だけで資産形成していくのは難しい場合もあります。その場合、資産運用も離婚後のお金対策の1つとしておすすめです。NISAやiDeCoなど資産運用の勉強をしておくと、今後の役に立つでしょう。

    iDeCoについての記事はこちら


まとめ


  • パートで働きながら生活しており、配偶者の扶養に入っている場合、離婚によって国民健康保険や年金などの負担が増えてしまうケースがあります。離婚を考えているなら、その後の生活のためにも、パートとしての働き方の見直しや転職、資産運用の見直しなどでお金について対策しておくのも大事です。

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