保育園の調理員の配置基準とは?具体的な人数や仕事内容・やりがいを解説

  • 保育園には、調理員の配置基準が存在します。子どもたちの育成を支えるためには、調理員の存在も欠かせません。そのため、配置すべき調理員が規定されており、保育園には常に一定の調理員の需要があります。この記事では、保育園での調理員の配置基準や保育園の調理員として働くやりがい、注意点について解説します。



保育園の調理員の配置基準とは

  • ここでいう保育園(保育所)に置くべき調理員の数とは、「児童福祉法第45条(昭和二十二年法律第百六十四号)」に基づく数です。児童福祉法第45条では都道府県が児童福祉施設の設備や運営について、条例で基準を定めなければなら ないとされています。基準は児童が身体的・精神的・社会的に発達できるよう、必要な生活水準を確保するものでなければなりません。

    また、「児童福祉施設の設備および運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号)」の第2条では、最低基準の目的、第33条では保育士、嘱託医、調理員を置かなければならないことが定められています。

    以上のように調理員は保育園からも一定の需要があるため、調理スキルのある人材は保育園で働くことも検討できるでしょう。なお、調理員とは「調理に従事するスタッフ」という意味です。調理師の資格・免許の有無は問われないため、調理師免許がなくても保育園の調理員として働けるチャンスがあります。

    ※参考:児童福祉法|e-GOV法令検索
    児童福祉施設の設備及び運営に関する基準|e-GOV法令検索


保育園に置くべき調理員・保育士・栄養士の数

  • ここでは、具体的な配置基準を解説します。



調理員は最低1人・調理を全委託するときは不要

  • 国の「公定価格基本分単価に含まれる職員構成」では、保育園での調理員の配置を以下のように定めています。



  • 調理員の人数は上記の基準とは別に、市区町村ごとに独自基準が設けられているケースもあります。また上記は、あくまでも保育園内で調理を行う際の基準です。

    調理業務のすべてを外部委託するとき、または搬入施設から食事を搬入するときは、調理員の配置は必要ありません。具体的な例では、「正社員の調理員」と「アルバイト・パートの調理補助が1人以上」というケースがよく見られます。
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保育士は子どもの人数に対して必要な人数

  • どのような保育園でも、保育士は2人以上置かなければなりません。加えて、配置人数は「児童福祉施設の設備および運営に関する基準」第33条第2項にも定められています。具体的には、以下の通りです。





栄養士には配置基準は設けられていない

  • 保育園の場合、保育士や調理員は配置すべき人数が義務付けられています。一方で、栄養士に関しては、子どもの人数にかかわらず特に配置の規定は定められていません。

    ただし、市区町村によっては栄養士の役割を考慮し、独自の配置基準を設けているケースがあります。たとえば、2024年時点の具体例で見ると、千葉県船橋市では栄養士の配置基準が各保育所で1人となっています。

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調理師免許の取得が就職に有利

  • 調理員として保育園で働きたい場合、調理師免許を持っていることが有利になるケースがあります。ここでは、その理由について解説します。



調理師免許が有利な理由

  • 保育園で調理員として働くために、調理師免許は必要ありません。調理補助のアルバイトなら求人も多く、特に調理師免許の有無が問われないケースもあります。ただし、正社員の調理員では、募集要項に「調理師免許必須」となっていることが多いでしょう。

    調理師免許を持っていれば、資格手当が出るケースもあります。調理師免許の受験資格には実務経験2年以上の要件があるため、保育園の調理補助としてキャリアを積み、調理師に挑戦するのも選択肢の1つです。


栄養士の資格でも有利になる可能性もある

  • 保育園では特に栄養士の配置義務はないものの、栄養士は栄養や食生活に関する幅広い知識を持つ専門家です。そのため、栄養士の資格が有利になる可能性もあります。特に離乳食の提供が必要な乳児や、食物アレルギーを持つ子どもを預かる場合に備えたり、保育園の給食で独自性を出したりしたい保育園では、栄養士の資格が活かせるでしょう。

    調理師免許の取り方に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
    主婦の調理師免許の取り方|取得のメリットや勉強方法・試験概要も解説


保育園の調理員として働くやりがい

  • 保育園の調理員として働くやりがいとして、以下の4つが挙げられます。



子どもの笑顔を見られる

  • 保育園の調理員としては、何よりもかわいい子どもたちから「おいしい」と喜んでもらえるのが嬉しいのではないでしょうか。自分の調理や盛り付けの工夫で成果が感じられると、やりがいにもつながります。特に園庭で育てた野菜を調理するような場面では、子どもにとっても満足度が高まりやすくなるでしょう。


子どもの食育に携われる

  • 保育園では離乳食を食べていた乳児が幼児食へ移行したり、苦手な食べ物が食べられるようになったりなど、子どもの食生活での成長を肌で感じられます。子どもの成長や趣味嗜好を考慮しつつ、調理を考えるのは調理員としてのやりがいになるでしょう。調理スキルにとどまらず、子どもに関する基礎知識も必要な仕事として、学びも深まります。


保護者のサポートにも携われる

  • 子どもの食事に関して悩みを抱えている保護者の相談役、サポート役としてやりがいを感じられることもあります。

    保護者からのヒアリングをもとに調理を考えたり、栄養面を考慮したりするなど、調理員の仕事は保護者とのやり取りも重要です。特に食物アレルギーを持つ子どもに関しては、面談や個別メニューの相談を受けながら、保護者に安心感を与えることも大切になります。


雇用が安定している

  • 認可保育園であれば、運営母体は自治体や行政です。雇用が景気に左右されることがなく、自治体などからの補助もあるため安定して働けます。人材不足の背景から、保育園で働ける人材の需要が高いのもメリットです。調理師として、また調理師を目指すステップとして経験やスキルを積むことができ、キャリア形成の第一歩として検討するのにも適しているでしょう。


保育園の調理師として働く際の注意点

  • 保育園の調理師として働く場合、以下の3点も踏まえたうえで検討しましょう。ここでは、保育園の調理師として働く際の注意点を解説します。



時間に追われて体力仕事になる

  • 基本的に立ち仕事であり、重い食材の持ち運びも発生するため、保育園の調理員は体力が必要な仕事です。夏はコンロやオーブンで暑い、冬は冷凍食材や水洗いで冷たいなど、調理場は季節によって環境が過酷になることもあります。

    また、保育園ではお昼やおやつの時間など、決められた時間に献立通りの食事やおやつを提供しなければなりません。そのため、スピード感や適切な時間配分で動くことも求められます。


アレルギーや食中毒への対応に慎重さが求められる

  • 保育園の調理員は、アレルギーや食中毒に関して慎重さが求められます。対応を誤ると、子どもの命を脅かすという責任感のある仕事です。アレルギーや食中毒について学習し、食材の保存方法や調理器具の洗浄・消毒などに対しても、高い衛生観念を保つ必要があります。保護者との入念な確認を行うことも、大事な役割です。


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保育園の調理員・調理補助のスケジュール例

  • それでは、実際に保育園の調理員や調理補助として勤務する場合、一体どのようなスケジュールになるのでしょうか。ここでは、一例を紹介します。



【8~9時】出勤して献立の打ち合わせ

  • 出勤後、調理担当と当日の献立や前日からの引き継ぎなどについて確認を行います。厨房に入る前には体調や爪のチェックなど、衛生状態を確認することが重要です。エプロンや帽子、マスクなどを着用し、検温と手洗い・消毒をしてから厨房に入ります。


【9~11時】食事の下ごしらえ・調理

  • 9時からは調理器具の準備を整え、おおよそ11時までの間に、献立内容に沿って食材の下ごしらえや調理を進めていきます。子どもたち全員に安心して給食を食べてもらうためには、忘れずにアレルギー情報の最終確認を行うことが大事です。そのうえで通常の給食に加え、アレルギー食や乳児の月齢に合わせた離乳食も作っていきます。


【12時】盛り付け・給食の配膳

  • 検食して味や硬さ、量などに問題がないか確認します。料理の盛り付けを行い、配膳して子どもたちに食べてもらいます。子どもごとに合わせて盛り付けや切り方、味付けを変える場合もあるため、確認しながら行うことが大切です。


【13~14時】下膳・調理器具の洗浄・おやつの準備

  • 給食の時間が終わったら下膳し、調理器具と一緒に食器を洗います。同時に、15時に出すおやつの準備も進めていかなければならない時間帯です。作業が落ち着いたら、おやつの配膳を行う前に調理員自身の休憩を取ります。


【14~15時】おやつの調理や配膳

  • 保育園ではおやつといっても、ただお菓子を出すだけとは限りません。足りない栄養を補う意味を兼ね、おにぎりや菓子パンなどの軽食を作るケースもあります。おやつの時間になれば、調理したおやつを子どもに配膳します。


【15時~16時】厨房の片付け

  • 給食とおやつの時間が終わったら、調理器具や食器の洗浄を行うとともに、調理室全体の清掃や消毒も行います。食中毒による健康被害が出たり、害虫が湧いたりすることがないよう、食器の洗浄や清掃・消毒を徹底して行うことが重要です。


【16~17時】事務作業・翌日の打ち合わせ・退勤

  • 当日の調理や片付けが済んだら、1日の活動の総括や翌日への引き継ぎ準備、打ち合わせなどを行います。材料のチェックや食材の発注、献立作成の業務なども調理員の大事な仕事です。細かな事務作業を終えたら、退勤となります。


まとめ

  • 保育園に調理員として勤務しようとする場合、調理師免許を持っていれば有利に働くことがあるものの、必ずしも免許や資格を必要としていません。求人も多くあり、保育園の調理員として働きながら、調理師免許の取得を目標に据え、キャリアアップを目指すこともできるでしょう。

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