パートと正社員の違いは?メリットやデメリット、給与、社会保険も比較し解説
- パートと正社員は、給与や社会保険の条件などの待遇について、さまざまな違いがあります。そのため、どちらで働くべきか悩んでいる人も多いでしょう。この記事では、パートと正社員の違いとともに、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。自分に適した働き方をみつけるために、ぜひ役立ててください。
- パート(パートタイム労働者)とは、同じ事業所で雇用されている通常の従業員と比較し、1週間の所定労働時間が短い労働者のことです。それに対して正社員とは、雇用期間の定めがなく、フルタイムで勤務する労働者のことです。
これらの定義に基づいてパートと正社員を比べると、両者の大きな違いは労働時間だと言えます。ただし、実際の労働時間は契約によっても異なるため、注意が必要です。
※参考:パートタイム労働者とは | 厚生労働省
- パートと正社員を詳しく比較すると、多くの違いがあります。以下では、具体的な違いを解説します。
- 契約期間
パートの雇用期間は実際の雇用契約の内容によって異なり、有期雇用と無期雇用があります。有期雇用の期間は原則として3年間ですが、専門的な知識がある場合や満60歳以上の場合は5年間です。厚生労働省が公表している調査結果によると、有期雇用パートタイムを雇用している会社の割合は27.1%です。一方、正社員として雇用されれば、契約期間の制限はありません。
- 給与・福利厚生
パートは時給制であり、働いた時間に応じて給与が支払われます。そのため、毎月のシフトによって給与が変化します。正社員は月給制や年棒制となっており、あらかじめ決められた基準に沿って給与が支払われる仕組みです。
また、法定外の福利厚生の対象は、会社の規定によって定められています。パートでも正社員と同様の福利厚生を受けられる場合もありますが、内容を一部制限しているケースもあります。
- 業務内容
業務内容について、パートと正社員という雇用形態に基づく厳密な区分はありません。ただし、一般的には、パートは正社員をサポートする業務や立場を任されるケースが多いです。
正社員は、パートよりも責任のある仕事を任されます。正社員よりもパートは働ける時間が短く、責任のある仕事は正社員が対応したほうが何かとスムーズだからです。なお、正社員は経験に応じて、より責任の重い仕事を任される可能性もあります。
- 勤務日数・労働時間
すでに触れた通り、パートの勤務日数や労働時間は、正社員よりも少ない傾向です。正社員は、基本的にフルタイムでの勤務が前提となっています。
ただし、パートとしてフルタイム勤務するケースもないわけではありません。フルタイムの上限は労働基準法で定められており、原則として1日あたり8時間、1週間あたり40時間です。36協定を結ばない限り、これ以上の勤務はできません。
- 社会保険・雇用保険
正社員は、原則として社会保険や雇用保険の加入が必須です。一方、パートが社会保険や雇用保険に加入するには、条件を満たしている必要があります。条件に合わない場合、本人が希望しても加入の対象にはなりません。社会保険や雇用保険の詳しい加入条件については以下で解説するため、参考にしてください。
- パートが社会保険に加入するには、まず1週間の所定労働時間が20時間以上である必要があります。また、月額の賃金が8.8万円以上であり、2か月を超えて雇用される見込みがなければなりません。さらに、学生ではないことも条件です。なお、これらの条件を満たして社会保険に加入できるのは、厚生年金保険の被保険者が101人以上の会社に勤務する場合です。
パートの社会保険についての記事はこちら
- パートで働く場合、メリットとデメリットの両方があります。以下では、それぞれについて解説します。
- パートで働くメリット
パートで働くメリットをまとめると、以下の通りです。
・働く時間や曜日を選びやすい
・未経験でも応募可能な求人がある
・Wワークもできる
パートはシフト制で短時間勤務するケースが多く、働く時間や曜日の自由度が高めです。また、責任のある仕事を任される場合が少ないため、未経験でも採用される求人が豊富です。さらに、パートにWワークを認めている会社も多く、仕事の掛け持ちができます。パートは働く時間が限られている場合が多いため、シフトの調整によりWワークを実現しやすいです。
- パートで働くデメリット
パートで働くデメリットをまとめると、以下の通りです。
・収入が安定しにくい
・社会的信用が低い
・福利厚生が少ない
・仕事内容に責任感ややりがいを感じにくい
パートは基本的に時給制であり、働いた時間に応じて収入が発生します。月給制や年俸制の正社員に比べ、収入が安定しにくいです。また、正社員と比較すると、パートの社会的信用は低い傾向があります。福利厚生の内容が限られている場合も多いです。さらに、責任のある仕事を任せてもらえないため、やりがいを感じられない可能性もあります。
- 正社員で働く場合も、メリットとデメリットの両方があります。それぞれについて解説します。
- 正社員で働くメリット
正社員で働くメリットをまとめると、以下の通りです。
・収入が安定しやすい
・責任のある仕事を任される
・福利厚生や手当の範囲が広い
正社員はあらかじめ月収や年収について決めたうえで働くため、収入が安定しています。昇給のチャンスも多いです。また、責任のある仕事ができ、さまざまな経験を積めます。その分、仕事に対するやりがいも感じられるでしょう。さらに、福利厚生や手当の範囲が広く、安心して無理なく働ける環境も整っています。
- 正社員で働くデメリット
正社員で働くデメリットをまとめると、以下の通りです。
・仕事にプレッシャーを感じる場面もある
・就業規則の内容によっては副業ができない
・異動や転勤が発生する可能性がある
正社員は仕事に対する責任が大きく、プレッシャーを感じるケースもあります。困難な場面でも、責任をもって最後まで適切に対応しなければなりません。また、就業規則で禁止されていれば、副業は不可です。さらに、正社員は異動や転勤の打診も行われる可能性があり、基本的には会社の指示に従う必要があります。
- パートと正社員のどちらで働くか迷う場合、自分自身の優先順位を意識することが大切です。たとえば、育児や家事と仕事を両立するため、シフトの自由度が高いパートを選ぶ人もいます。一方、キャリアの充実や収入の安定化を重視するなら、正社員を選ぶ必要があります。ただし、正社員として働くとしても、勤め先によっては時短勤務が可能です。
- ゆくゆくは正社員として働きたいと考えているなら、まずはパートとして働き始めて正社員を目指す方法もあります。会社によっては、パートに対して正社員登用制度を設けているため、うまく活用しましょう。パートから正社員を目指したいと考えている場合は、働き始める前に正社員登用制度があるか確認しておくと、スムーズです。
- 自分に合うパートを探すには、「シフトワークス」の利用がおすすめです。シフトワークスでは、働きたい時間や曜日などを絞り込んで検索できるサービスです。さまざまな職種の仕事を掲載しています。こだわりの条件を指定して仕事を探すことができ、希望する条件とマッチする仕事を探しやすいです。
主婦向けの仕事も多数掲載しているため、自分に合うパートをみつける手段としてぜひ活用してください。
- ここでは、パートや正社員に関するQ&Aについて解説します。
- 「パートタイム・有期雇用労働法」って何?
パートタイム・有期雇用労働法は、同一労働同一賃金を実現する目的で作られた法律です。同一労働同一賃金とは、同じ会社で同じ仕事をする場合、正社員やパートといった雇用形態にかかわらず同じ賃金を支払うという考え方です。不合理な待遇の格差を禁止するため、2020年4月に施行されました。
これにより、待遇についての説明義務が徹底され、格差によるトラブルを解決するための体制も強化されています。2021年4月からは、中小企業を含むすべての会社が対象になりました。
※参考:パートタイム・有期雇用労働法周知リーフレット
- フルタイムパートと正社員なら、どちらのほうが稼げる?
フルタイムパートとは、正社員と同じく所定労働時間分を働くパートのことです。フルタイムパートとして時給1,188円、1日8時間、月20日間働いた場合、年間の給与は約228万円になります。それに対し、女性の正社員の年間の給与は、約314万円という調査結果が出ています。この結果を踏まえると、年間の給与は正社員よりフルタームパートのほうが約80万円少ないです。
ただし、これはあくまでも単純計算した結果であり、実際には手当や残業代なども発生する可能性があります。
※参考:令和4年分 民間給与実態統計調査
- パートと正社員を比べると、契約期間や業務内容などにさまざまな違いがあります。それぞれメリット・デメリットがあり、自分が求める条件を考慮して選択することが大切です。パートから正社員になる方法もあるため、まずはパートとして働いてみて正社員を目指すか考えてもよいでしょう。
シフトワークスは、働きたい時間やシフトをもとにパートを探せるサービスです。全国のさまざまな条件に合った多種多様な求人情報を掲載しています。主婦が働きやすい仕事を指定して検索することも可能です。自分が求める条件に合う仕事をスムーズに探すために、ぜひ活用してください。