パートの労働時間の計算方法を解説!社会保険の要件や注意点を解説

  • パートとして働きに出る前に、勤務時間と労働時間の計算方法を把握しておくことが重要です。勤務時間・労働時間は社会保険に関係する要素のため、しっかりと計算方法を押さえておきましょう。この記事では、パートが知っておくべき勤務時間と労働時間の計算方法を解説します。ぜひ参考にしてください。

パートの時間計算は社会保険に関係する

  • 2016年10月からパートなどの短期時間労働者も、社会保険の適用対象となりました。また、2022年10月からは被保険者数が常時101人以上の事業所に、2024年10月からは被保険者が常時51人以上の事業所が対象になるというように、適用範囲が拡大されています。これにより、従来は社会保険に加入していなかったパートも、被保険者となる可能性があります。

    ただし、すべてのパートが社会保険に加入しなければいけないわけではありません。加入者となる従業員にも要件があり、所定労働時間や雇用期間などの要件を満たすことで、社会保険に加入できるようになります。

社会保険に加入できるパートの要件とは

  • 社会保険に加入できるパートの要件は、以下の4つです。ここでは、それぞれの要件について詳しく解説します。
  • 要件1:週の所定労働時間
    まずは、週の所定労働時間です。就業規則や雇用契約書に記載されている週の所定労働時間が、20時間以上であることが求められます。たとえば、週に5日、1日4時間となっていた場合には、20時間以上とみなされます。また、繁忙期などで忙しくなって残業が発生したなど、一時的に労働時間が長くなった場合は該当しません。
  • 要件2:月額賃金
    月額賃金が8.8万円以上であることも要件の1つです。月額賃金とは、基本給と諸手当のことを指しており、残業代や賞与などは含めません。また、通勤手当や家族手当といった最低賃金に参入しないことと、定められている賃金についても月額賃金には算入されません。基本的には、日給や時給を1か月の賃金に換算した金額を参考にします。
  • 要件3:雇用が継続する見込み
    雇用が継続する見込みがあることも要件になっており、2か月を超える雇用の見込みがあることと定められています。たとえば、1か月のみというような期間限定のパートの場合には、社会保険に加入できません。ただし、雇用の見込みが2か月以内であったとしても、所定の要件に該当していた場合、社会保険加入の対象になるケースがあるようです。
  • 要件4:学生でない
    学生でないことも要件の1つです。大学生や高校生、専修学校生などは、原則として適用拡大の対象外となっています。ただし、卒業後にパートやバイト先への就職が決まっており引き続き勤務する予定の卒業見込み学生、夜間学生などは適用拡大の対象となる場合があります。あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

勤務時間と労働時間の違いを解説

  • 勤務時間と労働時間にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、勤務時間・労働時間の概要を解説します。
  • 勤務時間とは
    勤務時間とは、始業時間から終業時間までの時間を表します。勤務時間を計算する際には、休憩時間も含めます。たとえば、始業時間が9時で終業時間が17時だった場合には、勤務時間は8時間です。
  • 労働時間とは
    労働時間とは、勤務時間のうち実際に就業した時間を表します。つまり、勤務時間から休憩時間を差し引いた時間を労働時間と呼んでいます。たとえば、勤務時間が8時間でそのうち1時間休憩があった場合、労働時間は7時間となります。

パートの労働時間を計算する際の注意点とは

  • パートの労働時間を計算する場合、注意したいポイントがあります。ここでは、6つの注意点について解説します。
  • 原則、1分単位で計算する
    労働時間の計算は、原則として1分単位で計算しましょう。労働基準法第24条「賃金全額払いの原則」によって義務付けられており、10分や30分単位で労働時間を計算し、賃金の計算に用いることは法律違反となります。ただし、例外的に1か月の時間外労働や休日労働、深夜労働に関しては端数処理が認められています。
  • 休憩時間にはルールがある
    労働基準法第34条によって、労働時間に対する休憩時間が定められています。労働時間ごとの休憩時間は以下のとおりです。

    ・労働時間が6時間以上:休憩は不要
    ・労働時間が6時間以上8時間以下:休憩時間は45分以上
    ・労働時間が8時間以上:休憩時間は1時間以上

    休憩時間は労働時間の途中で与えることとなっており、始業前や終業後の休憩時間は不可です。
  • 遅刻・早退は労働時間から差し引く
    1か月の間に、遅刻や早退をした場合には、その時間を労働時間から差し引いて計算することとなっています。労働時間と同じように、遅刻や早退の場合にも1分単位で計算する必要があるため注意しましょう。遅刻や早退などで実際に労働していなかった分の時間は、給与の対象外となります。
  • 36協定を結ぶ
    36協定とは、従業員に法定労働時間を超えて時間外労働させたり、休日労働をさせたりする場合に締結しなければいけない協定のことです。労働基準法では、労働の上限が1日に8時間、週に40時間以内と定められており、これを超える労働をさせる場合は36協定の締結が必要です。ただし、36協定を締結しても時間外労働は月45時間/年360時間までです。
  • 割増賃金のルールを確認する
    法定労働時間を超過して働く場合には、割増賃金が支払われます。割増賃金は労働の種類によって割増率が異なります。それぞれの割増率は以下のとおりです。

    ・時間外労働:割増率25%
    ・深夜労働(22~5時まで):割増率25%
    ・休日労働:割増率35%

    このように割増率が異なるため、しっかり把握したうえで計算しましょう。
  • 残業代の取り扱いをチェックする
    時間外労働をした場合には残業代が発生しますが、この際には注意が必要です。残業をしたからといって、すべてが割増賃金になるとは限りません。法定労働時間を超過している必要があります。たとえば、労働時間が9~17時までの7時間で、18時まで残業した場合は1日の労働時間が8時間で、法定労働時間を超えないため割増賃金は発生しません。

パートの労働時間・勤務時間の計算方法を解説

  • パートを始める前に、労働時間と勤務時間の計算方法を押さえておきましょう。ここでは、それぞれの計算方法を解説します。
  • 所定労働時間が8時間の場合
    まずは、所定労働時間が8時間で以下のような条件で働いていた場合の計算方法です。

    ・9時~19時まで勤務
    ・休憩時間は1時間

    この場合は、勤務時間は10時間となります。休憩時間が1時間のため「10時間-1時間」で労働時間を求めることになり、労働時間は9時間です。

    1日の労働時間は8時間までと定められているため、この場合は18時~19時までの1時間は法定外労働時間となります。そのため、18時~19時までの1時間分については割増賃金が適用されます。
  • 所定労働時間が6時間の場合
    次に、所定労働時間が6時間で以下のような条件で働いていた場合の計算方法です。

    ・9時~19時まで勤務
    ・休憩時間は1時間

    この場合も、勤務時間は10時間となります。休憩時間が1時間あるため、「10時間-1時間」で労働時間は9時間です。ただし、所定労働時間が6時間となっているため、16時~19時までの間は時間外労働となります。

    ここで注意したいポイントは、16時~18時までの2時間は法定内労働となる点です。法定内労働時間は割増賃金が発生しないため、所定の賃金が支払われます。18~19時までの1時間は法定外労働にあたるため割増賃金が発生するというように、同じ時間外労働であっても法定内か法定外かによって、割増賃金の対象になるかどうかが異なります。

まとめ

  • パートの場合でも、要件を満たしている場合には社会保険に加入しなければいけません。雇用契約書などに記載された、週の所定労働時間や月額賃金などが関係してくるため、社会保険に加入しなくてもよい範囲で働きたい場合は、しっかりと計算方法を把握しておきましょう。

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