パートが扶養外で働くメリット・デメリットは?外れないための年収の壁も解説

記事公開日: 2024.06.26           最終更新日: 2024.06.27

  • パートとして働く際は、扶養内・扶養外で働くメリット・デメリットや、年収の壁について理解しておきましょう。

    この記事では、パートが扶養外で働くメリットや年収の壁などを、詳しく解説します。扶養を外れて働くかどうかの判断に、ぜひお役立てください。


扶養の種類


  • 扶養という言葉は、社会保険と税法の2つの分野で使われています。以下では、それぞれの分野における扶養の概念を解説します。


  • 社会保険上の扶養
    社会保険上の扶養とは、健康保険や国民年金保険において、保険料の支払いなしに保険に加入することです。自身で保険料を支払わなくても、被扶養者であれば、医療保険の給付を受ける権利や年金を受給する権利を得られます。なお、被扶養者の範囲は、配偶者と3親等内の親族が該当します。


  • 税法上の扶養
    税法上の扶養とは、扶養者が住民税や所得税の控除を受ける結果、税金の納付額を抑えられることです。控除対象配偶者がいる扶養者は、年間の合計所得金額が1,000万円以下のときに配偶者控除を受けることが可能です。また、年間の合計所得金額が48万円以下の子どもや親を扶養していれば、扶養控除の対象となります。

    なお、被扶養者自身は、一定の条件を満たすと所得税や住民税を免除されます。


パートが扶養から外れないために知っておきたい年収の壁


  • 世帯収入を増やすには、複数の年収の壁を把握しておく必要があります。以下では、税金や社会保険料の支払いが発生するボーダーラインを解説します。


  • 100万円の壁
    「100万円の壁」は、住民税が課税されるかどうかのボーダーラインです。自治体ごとに多少の差はありますが、一般的に年収が93万円から100万円を超えた時点で、住民税の納税義務が発生します。住民税の課税により、手取り収入が大きく減ってしまうことから、このボーダーラインを100万円の壁と呼びます。


  • 103万円の壁
    「103万円の壁」は、所得税が課税されるボーダーラインです。給与所得者の場合、基礎控除が48万円、給与所得控除が55万円であるため、合計すると103万円分の控除を受けられます。そのため、年収が103万円を超えると所得税の納税義務が生じる仕組みです。


  • 106万円の壁
    「106万円の壁」は、社会保険に加入するかどうかのボーダーラインです。パート先の規模にもよりますが、週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金が88,000円以上、などの条件を満たす人は社会保険に加入しなければなりません。社会保険に加入すると、健康保険料と厚生年金保険料の支払いが必要となります。

    ※参考:パート・アルバイトのみなさま|社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省


  • 130万円の壁
    「130万円の壁」は、社会保険の加入義務が発生するボーダーラインです。ただし、個人で経営する小規模な事業所などは、社会保険適用事業所の条件を満たしていません。勤務先が社会保険に加入していなければ、自身で国民健康保険や国民年金保険に加入する必要があります。


  • 150万円の壁
    「150万円の壁」とは、配偶者特別控除が減額され始めるボーダーラインです。150万円を超えると、扶養者が最大38万円受けていた控除額が段階的に減額されます。また、控除を受ける扶養者の合計所得金額によっても、受けられる控除額は変わります。

    ※参考:No.1195 配偶者特別控除|国税庁


扶養内パートのメリット・デメリット


  • 扶養内パートにはメリットとデメリットがあります。目先の手取りだけでなく、将来の収入や保障も考えて働き方を選びましょう。


  • 扶養内パートのメリット
    扶養内パートのメリットは、以下のとおりです。

    ・扶養する人の所得税が減る
    ・扶養される人の税金の負担が減る
    ・扶養される人の社会保険料の負担が減る

    扶養内で働くメリットは、税金や社会保険料の負担が少ないことです。配偶者控除や配偶者特別控除を受けられると、扶養者の所得税の納税額を減らせます。扶養内で働く人自身も、所得税や住民税、社会保険料の負担を減らせます。


  • 扶養内パートのデメリット
    扶養内パートのデメリットは、以下のとおりです。

    ・年金が少なくなる可能性がある
    ・健康保険の傷病手当金や出産手当金を受け取れない
    ・年収の上限を意識する必要がある

    扶養内で働くと、将来的に受け取れる年金が少なくなる可能性があります。また、社会保険に加入していないため、病気やケガで働けなくなった際の傷病手当金や、出産時の出産手当金を受け取れません。

    さらに、扶養の範囲内に収入を収めるために、年収の上限を常に意識する必要があります。働きたい意欲があっても、年収の壁を超えないように労働時間を調整しなければなりません。


パートが扶養を外れるメリット


  • 将来の収入やキャリア、保障も考えて働き方を選択しましょう。以下では、パートが扶養を外れるメリットを解説します。


  • 収入を増やせる可能性がある
    税金や社会保険料の負担が増えることから、扶養を外れて働くと、手取り収入が少なくなるイメージを持っている人は多いかもしれません。

    年収130万〜150万円程度の場合、扶養を外れることで手取り額が減ってしまう可能性は、確かに考えられます。ただし、年収が160万円以上になれば、収入の増加分が税金や社会保険料の増加分を上回ります。扶養を外れても手取り収入を減らしたくない人は、年収160万円以上を目指して働くとよいでしょう。


  • 保障が充実する
    扶養を外れて働く場合は、社会保険に加入する必要があります。社会保険に加入すると、病気やケガで働けなくなった際の傷病手当金や、出産時の出産手当金、失業時の失業手当などを受けられるようになります。手厚い保障は、予期せぬ事態が起きたときの心強い味方です。

    さらに、社会保険に加入すると、将来受け取る年金額も増加します。扶養を外れて働いた期間が長いほど、受け取れる年金額も増えていきます。老後の生活資金を確保するためにも、働き方を検討しましょう。


  • キャリアアップを目指せる
    扶養を外れて働くと、キャリアアップの面でもメリットがあります。扶養の範囲内で働く場合、労働時間に制限があるため、パート先で十分に力を発揮できない人も少なくありません。

    一方、扶養を外れて労働時間を増やすと、より多くの仕事を任せてもらえるようになり、これまで以上にパート先に貢献できるようになります。また、多様な業務を通じてスキルアップできると、正社員になるチャンスを得られる可能性もあります。


パートが扶養を外れるデメリット


  • パートが扶養を外れるデメリットを解説します。ストレスや疲労を抑えつつ扶養を外れるには、ワークライフバランスを意識しましょう。


  • 税金・社会保険料の支払いが発生する
    扶養を外れると社会保険料の負担が発生するため、手取り収入が減ってしまいます。健康保険料や厚生年金保険料などが、給与から天引きされるためです。また、扶養を外れると、配偶者特別控除額も段階的に減り、最終的には控除額がゼロになります。扶養を外れると、自身や配偶者双方の手取り収入が減るため、世帯年収を意識して働く意識が重要です。


  • プライベートの時間が減る
    扶養を外れて働くと、労働時間が長くなるため、結果的にプライベートの時間が減ります。家事や育児、趣味などに充てられる時間が少なくなると、ストレスや疲労を感じやすくなるかもしれません。特に小さな子どもを育てている人は、労働時間を増やすにあたり家族の協力が不可欠です。

    無理なく扶養を外れるには、ワークライフバランスを意識する必要があります。収入面とプライベート面双方を意識しつつ、働き方を検討しましょう。


パートが社会保険の扶養を外れるタイミングはいつ?


  • 社会保険の扶養を外れる適切なタイミングは、見込み年収が130万円以上と判断されたときです。130万円を超えると社会保険の加入義務が発生するため、手取り収入が大きく減る可能性があるためです。ただし、1か月のみ月収が10万8,333円を超えても、その他の月の月収が低ければ扶養から外れずに済みます。

    なお、年収が106万円以上の場合も、条件に該当すれば社会保険上の扶養から外れることになります。

    パートの労働時間の計算についての記事はこちら


パートが扶養を外れる際の手続き


  • 扶養を外れて社会保険に加入する場合は、外れることが決まった日から5日以内に、扶養者の会社へ「被扶養者(異動)届」を提出してください。その後、自身が社会保険に加入するため、パート先に「被保険者資格取得届」を提出しましょう。

    国民健康保険・国民年金保険に加入する場合は、扶養から外れた日から14日以内に手続きが必要です。扶養者の会社に「被扶養配偶者非該当届」を提出し、「資格喪失証明書」の発行を依頼します。続いて、資格喪失証明書を自治体の窓口に提出してください。


パートが扶養内・扶養外で働くためのポイント


  • 扶養内・扶養外いずれの場合も、働き方の希望をパート先に伝えましょう。例えば、「扶養の範囲内で働きたい」と履歴書や面接時に事前に伝えておけば、シフトをうまく調整してくれる可能性があります。扶養の範囲内で働きたい場合は年収の上限を意識する必要があるため、パート先に自分の希望をしっかりと伝えておきましょう。

    また、扶養内で働きたい場合は、扶養の範囲内で働ける求人に絞ってパートを探すのもおすすめです。


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    扶養を外れるために急に労働時間を増やすと、プライベートの時間が減りストレスや疲労を感じるかもしれません。自分のペースで徐々に勤務時間を増やしていける求人を見つけられると、無理なく扶養を外れて働けるでしょう。


まとめ


  • パートで扶養を外れるかどうかを検討する際は、複数の年収の壁を意識する必要があります。扶養を外れると収入を増やせるうえに、手厚い保障を受けられます。ただし、扶養を外れると手取り収入が減る可能性があり、プライベートの時間が減ることによるストレスを感じるかもしれません。

    働き方を検討する際は、収入面だけではなく、将来のキャリアやワークライフバランスを意識することが大切です。シフトワークスは、時間やシフトから仕事探しができる求人サイトで、さまざまな条件に合った求人情報を豊富に用意しています。扶養を外れるか検討中の人は、ぜひ、登録をご検討ください。