調理補助のパートやアルバイトも検便は必要?検便のルールや手順もチェック

  • 調理補助のパートやアルバイトを始めてみたいけれど、検便が必要かどうか気になるという人も少なくありません。この記事では、調理関係の仕事において検便の義務がある業種・職種をはじめ、対象者でなくても検便が必要なケースについて解説します。調理関係の企業が自主的に行う検便についても解説するので、ぜひ仕事探しの参考にしてください。



調理補助のパートやアルバイトでも検便は必要?

  • ここでは、一般的に募集されている調理補助のパートやアルバイトでも、検便は必要かどうかについて解説します。



食品衛生法において検便検査は義務化されていない

  • そもそも食品衛生法においては、検便を義務としていません。例えば、飲食店で働くパートやアルバイトに対して、検便が法律で義務づけられているわけではないということです。ただし、検便を促している自治体もあります。自治体や保健所から検便の指示が出た場合は、パートやアルバイトなどの職種を問わず、全従業員が従わなければなりません。


調理者などに検便を行う企業・団体もある

  • 多くの企業・団体は、食中毒対策や食中毒が発生時の原因追跡のために、普段から検便検査を行っているケースもあります。ただし、普段から定期的な検便検査を行っているかどうかを、パートやアルバイトの応募時に見極めることは難しいでしょう。


調理者などの検便検査が義務付けられている業種・職種

  • 食品衛生法とは別に、以下の業種・職種においては、検便の実施・具体的な検査項目・頻度などが定められています。



学校給食従事者

  • 学校給食従事者に該当する人は、「学校給食衛生管理基準」により、月に2回以上の検便が義務づけられています。調理補助のパートやアルバイトでも、給食調理従事者に該当する場合には、検便が必要です。


保育施設の保育士や調理者

  • 地方自治体の条例などで、保育施設の保育士や調理者に該当する場合は、検便が義務付けられていることもあります。条例で定期検便の義務がある場合は、調理補助のパートやアルバイトでも、検便を提出しなければなりません。


社会福祉施設の従業員

  • 介護・障害者施設や老人ホームなど、社会福祉施設などで働く従業員も、定期的な検便が義務付けられています。厚生労働省の「社会福祉施設等における衛生管理の徹底について」によると、調理従事者は臨時職員も含めて、定期的な健康診断と月1回以上の検便を受けなければなりません。


水道事業従事者

  • 多くの市民の飲み水に関わる水道事業従事者も、検便検査が義務付けられています。自治体によっては、検査項目が多い場合もあるようです。


イベントで飲食物を提供する人

  • 法律上の義務ではないものの、お祭り、バザー、子ども会などのイベントで飲食物を提供する場合は、検便が義務付けられています。一般的には、調理と盛り付けを担当する人は、原則として検便を行うように指導されます。


調理補助など飲食に関わる従業員に検便が必要な理由

  • それでは、一体なぜ飲食に関わる従業員に検便が必要なのかと疑問を感じる人もいるでしょう。主な理由は、以下のとおりです。



健康保菌者の確認のため

  • 健康保菌者とは、症状が出ていなくても食中毒菌に感染している人を指します。健康保菌者が調理を行うと、食材や料理に食中毒を付着させる可能性が高くなるため、検便によって確認を行う必要があります。


食中毒が発生した際の追跡のため

  • 万が一、食中毒が起こった場合でも、検便を定期的に行っていて記録を提示すれば、発生時に従業員が感染源でないことを証拠として提出できます。手間や費用はかかりますが、定期的な検便はいざというときに企業や従業員を守る手段にもなります。


調理者などを対象とする検便の指示を無視したらどうなるか

  • 厚生労働省の指針(ガイドライン)では、食品取扱者は保健所から検便の指示があった際に、検便を受けさせなければならないことが記されています。自治体によっては、検便の回数や検査記録の提出を条例などで定めている場合もあるので、注意が必要です。

    保健所や自治体からの指示を無視して、食中毒などを発生させた場合は、食品衛生法やJAS法等違反による営業停止、回収命令、廃棄命令などの行政処分が下されます。


生理中・服薬後でも検便検査は可能か

  • 生理中でも検便は可能です。薬を飲んでいる場合は、抗生物質(抗菌剤)の影響が出る恐れがあるため、抗生物質(抗菌剤)の服用後は、最低でも48時間空けてから検便を行わなければなりません。また、健康診断などでバリウム検査を行った場合は、白っぽい便が出ます。白っぽい便がなくなってから検便を行いましょう。


調理者などを対象に行う自主的な検便のルール

  • 検便が義務付けられていないような業界や業種でも、企業や団体が危機管理のために検便を行うケースがあります。ここでは、企業や団体が自主的に行う検便のルールについて解説します。



対象者

  • 対象者は、基本的に調理・配膳担当など食材に直接触れる人です。調理補助などのパートやアルバイトでも、雇用先から指示された場合は検便を受けなければなりません。


検査項目

  • 一般的な検査項目は、以下のとおり大きく分けて2種類あります。それぞれの検査について、くわしく解説します。


  • <腸内細菌検査>
    腸内細菌を調べる検査です。主に以下のような細菌を対象にしていますが、どの範囲で検査を行うのかは企業や団体の目的・必要性によって判断されます。


  • ・コレラ菌
    ・腸管出血性大腸菌
    ・サルモネラ菌(腸チフス・パラチフス菌を含む)
    ・赤痢菌 
    ・O157


  • <ノロウイルス>
    経口感染により食中毒を引き起こすノロウイルスの検査方法です。検査は一般的に以下の2種類があります。


  • ・RT-PCR法(遺伝子増幅法):便や嘔吐物からノロウイルス遺伝子を検出する
    ・イムノクロマト法(ノロウイルス抗原検査):検査キットで便に含まれるノロウイルスを検出する


検査頻度

  • 基本的に検査の回数、ルール、ガイドラインはありません。自治体や保健所の指導に従って検査を行います。検便を行う目的は企業や団体によって異なるため、目的や必要性に応じて検査の実施頻度を決めます。


調理者などに検便を行う際の手順

  • 企業や団体が調理者などを対象として自主的に検便を行う場合は、一般的に以下のような手順で行われます。


  • 1.企業や団体が検査機関などに検査を申し込む
    2.検査機関から郵送で採便容器を受け取る
    3.調理者などの対象者に採便を依頼する
    4.対象者から採便容器を回収して検査機関に返送する
    5.検査機関から検査結果を受け取る


調理者など従業員の検便で陽性者が出た場合の対応

  • 調理者など従業員の検便で陽性者が出た場合、以下のように対応します。



3類感染症の場合

  • 3類感染症の陽性が出た場合は、法令に従った対応が迫られます。2次感染を防ぐために就業制限などで調理などが規制されるので注意が必要です。3類感染症に指定されている代表的な感染症は以下のとおりです。


  • ・コレラ菌
    ・腸管出血性大腸菌
    ・腸チフス
    ・パラチフス
    ・赤痢


陽性者への対応

  • 3類感染症の陽性者に調理に携わらないように指示をし、医療機関の受診を勧めましょう。次に、医療機関と保健所の指示に従って治療を受けてもらいます。3類感染症の陽性者に待機してもらい、再度検便検査を受けてもらいます。一般的には1回から3回の陰性確認が必要です。再検査で陰性確認の条件を満たせば、陽性者の就業制限が解除されます。


5類感染症の場合

  • 5類感染症は、3類感染症のような就業制限は基本的にありません。ただし、2次感染を防ぐためにも企業・団体内での対応は必要です。5類感染症の陽性者であっても、3類感染症と同じような対応を行いましょう。ただし、陰性確認を1回にするのかそれ以上にするのかは、企業や団体の必要性に応じて設定します。

    5類感染症に指定されている代表的な感染症は、以下のとおりです。


  • ・サルモネラ属菌
    ・腸炎ビブリオ
    ・カンピロバクター
    ・ノロウイルス


検便で調理者などに陽性者が出た場合の対応

  • 陽性者が出た場合は、どのような対応を行ったかを記録に残しておくことが重要です。冷静な行動をとって記録に残しておくことで、もし担当者が変わったとしても次に陽性者が出た場合に素早い対応ができます。万が一に備えて、危機管理マニュアルなどを作成するのもよいでしょう。


まとめ

  • 調理補助のパートやアルバイトは、食品衛生法上では検便検査の義務化はされていません。しかし、解説したとおり、業種・職種によっては検便が必要なケースもあります。企業や団体が自主的に検便を行う場合は、パートやアルバイトの応募時に調べることは困難です。もし気になるような場合は、面接の際に聞いてみるとよいでしょう。

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