パートでも住民税は発生する?住民税の内訳や納税方法なども解説!
- パートとして働いている場合、一定の条件を満たすと住民税が発生します。納税の義務があるとはいえ、できれば納税額を抑えたい人は多いでしょう。この記事では、住民税の基本情報や住民税を減らすための方法について解説します。住民税が非課税になる特例や住民税の額が変わるケース、住民税に関する注意点についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
- 住民税とは、一定の収入がある人が、住んでいる自治体に納める税金のことです。住民税には、都道府県に納める「道府県民税」と、市区町村に納める「市町村民税」の、2種類あります。なお、東京都は「都民税」、東京23区は「特別区民税」と名称が異なるため、東京都在住の人は注意してください。
住民税は、「均等割」「所得割」を合わせた額となりますが、自治体によって課税の基準が定められており、全国一律ではありません。徴収された住民税は、社会福祉や子育て支援など、さまざまな行政サービスを提供する財源となります。
- 雇用形態に関わらず、一定の条件を満たすと住民税が発生します。課税の対象となる条件は、市町村によって異なるものの、基本的に年収100万円以上が目安です。未成年者や寡婦などに該当する場合、年収204万4千円未満なら住民税は発生しません。
参考:私たちの税金(令和5年度版)|国税庁
- 住民税は、「均等割」「所得割」で構成されています。ここでは、住民税が課税される仕組みを解説します。なお、ここで解説する税率や税額は、2024年5月時点の情報です。
- 均等割
均等割とは、収入の程度に関わらず定額で課税される税金です。全国一律の基準はありませんが、年収が93万~100万円を超えると対象になることが、一般的です。都道府県や市区町村の裁量で増減が可能となっており、地域によって金額に差があります。令和5年度までは、道府県民税1,500円と市町村民税3,500円、合計5,000円前後が目安です。
参考:住民税|国税庁
- 所得割
所得割とは、納税者の収入に応じて課税される税金です。所得割は、納税者の収入によって課税額が変わるため、収入が多くなるほど所得割の金額も増加します。納税額は、給与から各種控除を差し引いた金額に税率をかけて算出します。税率は10%で、内訳は市町村税が6%、道府県民税が4%です。
参考:個人住民税|総務省
- 課税の対象となった場合は、納税の義務を果たす必要があるものの、少し工夫するだけで住民税を減らせるケースがあります。課税の仕組みへの理解を深め、正しく税金を納めましょう。
- 所得総額を調整する
住民税は、一定期間の所得の総額で決まります。具体的な期間は、前年の1月1日から12月31日までの1年間で、所得総額は振込日が基準となります。そのため、給与が翌月支払いの場合、12月分は翌年1月の所得として扱います。年収が住民税の条件を満たしそうな場合はシフトを減らすなど、所得総額が調整できれば、課税の対象とはなりません。
- 各種控除を活用する
各種控除を活用することで、住民税が減額になったり、課税対象から外れたりするケースがあります。
活用できる代表的な控除は、次のとおりです。
・寄附金控除
・住宅ローン控除
・医療費控除
・生命保険料控除
・障害者控除
・寡婦/寡夫控除
・扶養控除
パートの収入が、住民税の対象となる金額を超えた場合は、適用できる控除がないか確認してみましょう。
- 非課税の費用を活用する
給与明細に記載される一部の手当は、一定額まで非課税とすることが可能です。たとえば、基本給とは別に、通勤交通費が通勤手当として支給される場合、月15万円以下までは、課税対象となる金額から除外できます。宿直手当や出張手当なども非課税となる可能性がありますが、残業手当や休日手当などは課税対象となるため、注意が必要です。
- 未成年者や学生らを対象に、課税基準を超えても住民税が非課税となる特例を、適用することができます。
- 未成年・未婚で年収204万円以下
未成年・未婚の場合かつ給与収入のみで年収がおよそ204万円までなら、住民税が非課税となります。なお、給与収入のみでない場合は、年間所得135万円が上限です。また、18歳未満でも既婚者の場合は成年として扱われるため、制度の対象に該当しません。
- 勤労学生控除で年収124万円以下
学生の場合は、勤労学生控除で住民税の所得割が非課税となります。上限は124万円までで、内訳は次の表のとおりです。
- 住民税は、収入や控除の内容によって変動します。ここでは、住民税の額が変わるケースについて解説します。
- 年収が増減した場合
住民税の納付額は、前年度の年収を基準として決まる仕組みです。そのため、今年度と前年度の収入に違いがある場合、税額も変化します。前年に給料が上がったり、臨時ボーナスをもらったりしていると、住民税が高くなっている可能性があります。
- 各種控除の対象である場合
各種控除を活用している場合も、住民税の額は変わります。たとえば、社会保険料控除では、所得金額から社会保険料を引けるため、連動する住民税も減額の対象です。基礎控除や扶養控除など、さまざまな控除を活用することで所得総額が少なくなり、住民税の負担も軽減できます。
- 住民税の額は住んでいる場所によっても変わる
住民税の所得割は、年間所得に対して10%です。一方、均等割は所得に関係なく、5,000円前後を負担することになります。さらに、均等割は、地方自治体の裁量次第で増減できる仕組みです。住んでいる場所によっては、追加で課税しているケースもあるため、自治体の税制度を確認してみるとよいでしょう。
- 住民税の納税方法は、「特別徴収」「普通徴収」の2つがあります。ここでは、それぞれの特徴と納税方法を見ていきましょう。
- 特別徴収
特別徴収は、企業に勤めている場合に実施される、納税方法です。毎月の給与から住民税が天引きされ、事業主である企業が納税してくれるため、自身で対応する必要はありません。特別徴収は、もう1つの納税方法である普通徴収と比べると、納付1回あたりの金額が少ない傾向です。
給与所得者は、特別徴収で納税することが法令で義務付けられており、普通徴収に変更することはできません。給与明細に住民税の項目がある場合は、特別徴収で納税していることが分かります。
- <特別徴収の対象外となる条件>
ただし、給与所得者でも、一定の条件を満たすと特別徴収の対象外となります。具体的な条件は、次のとおりです。
・企業における受給者数が2名以下
・給与支払額が少なく納税額を引けない
・給与の支払いが毎月ではない
・退職済みや退職予定者
・他の勤務先で特別徴収をしている
パート勤務でも上記の条件に該当する場合は、雇用先に納税方法を確認してみましょう。
- 普通徴収
普通徴収は、納付書や口座振替などで自ら住民税を納める方法です。特別徴収で納税しない場合は、普通徴収で対応します。納付先は、支払う年の1月1日時点を基準に、住んでいる地域の自治体となります。なお、詳しい納税方法や納税金額は、6月頃に自治体から送付される納税通知書と納付書にて確認可能です。納付は年4回の分割にするか、一括払いにするかを選べます。
- 最後に、住民税に関する注意点を解説します。滞納のリスクや所得税との違いを知り、予期せぬ出費を防ぎましょう。
- 滞納すると延滞税が発生する
住民税を払い忘れて滞納すると、滞納した日から延滞税と呼ばれる追加金が発生します。延滞金利は、「2か月まで」「2か月目以降」で利率が変わります。期間が長くなるほど金額は高くなるので、滞納してしまった場合は早急な対応が必要です。滞納日から20日経過すると、自治体から納付書が同封された督促状が届くため、指示に従って税金を納めましょう。
- 所得税と課税される基準が異なる
所得税は、住民税と並び、個人に課される代表的な税金の1つです。所得税も住民税と同様に、給与所得を基準に納税額を算出します。住民税は、自治体ごとに100万円前後と違いがあるのに対して、所得税は103万円と明確に決まっています。年収が103万円未満で所得税がかからなくても、住民税は発生する場合があるため、注意しましょう。
- パート勤務では、「住民税」「所得税」という2種類の税金を、意識する必要があります。住民税は、定額で課税される均等割と、収入に応じて課税される所得割の2階建てです。自治体によって多少の差はあるものの、概ね100万円以上のパート収入がある場合は、住民税が課税されます。
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