アルバイトでも健康診断は受けられる?受診の条件を詳しく解説

  • 健康診断を受けることで、自覚症状がない病気を早期発見でき、健康維持や生活習慣の改善に役立てられます。アルバイトとして勤務している人の中には、アルバイトでも健康診断を受けられるのか、気になっている人もいるのではないでしょうか。

    本記事では、アルバイトが健康診断を受けるための条件や、健康診断の種類などを解説します。ぜひ参考にしてください。


アルバイトでも健康診断は受けられる?


  • 結論として、アルバイトとして働いていても健康診断は受けられます。ただし、健康診断の受診には、一定の条件を満たすことが必要です。健康診断の詳しい条件に関しては、後述します。まずは、健康診断はアルバイトでも受けられること、受診には一定の条件を満たす必要があることを、把握しておきましょう。


会社がアルバイトに健康診断を実施する理由とメリット


  • 会社がアルバイトに健康診断を実施するメリットは、さまざまです。例えば、健康診断の実施によってアルバイトの健康を守れれば、健康経営の推進に役立ちます。健康経営とは、従業員の健康を資産として捉え、戦略的に活用する経営手法です。

    また、アルバイトでも健康診断を受けられれば、応募者から働きやすい職場とみなされ採用強化につなげられます。すでに働いている人にとっても、従業員を大切にする職場だと感じられるため、働くにあたってモチベーションの向上につなげられるでしょう。


アルバイトで健康診断を受けるための条件


  • アルバイトで健康診断を受けるためには、雇用期間・労働時間の条件を満たす必要があります。ここでは、アルバイトで健康診断を受けるための条件について、詳しく解説します。


  • 雇用期間
    アルバイトで健康診断を受けるための雇用期間に関する条件は、下記のいずれかです。

    ・雇用期間の定めがない
    ・1年以上の契約期間
    ・1年以上の雇用実績

    健康診断を受診するには、無期契約であるか、有期契約で1年以上の契約期間が求められます。または、すでに1年以上の雇用実績がある場合も、条件を満たしています。アルバイトをしていて、健康診断を受けられるか確認したい場合は、まずは雇用期間をチェックしましょう。


  • 労働時間
    アルバイトで健康診断を受けるための労働時間に関する条件は、下記のとおりです。

    ・1週間あたりの労働時間数が通常労働者の4分の3以上

    また、下記の条件では健康診断の実施が望ましいとされています。

    ・1週間あたりの労働時間数が通常労働者の2分の1以上・4分の3未満

    2分の1未満の労働時間では、国による健康診断の規定は定められていません。実際の職場の雇用期間・所定労働時間が健康診断の基準となるため、扶養内で働く人でも健康診断を受けられる場合があります。


条件を満たすアルバイトが受けられる健康診断


  • 条件を満たすアルバイトが受けられる健康診断には、雇入時の健康診断・定期健康診断の2種類があります。以下では、雇入時の健康診断・定期健康診断について解説します。


  • 雇入時の健康診断
    常時使用する労働者を採用した会社は、雇入時の健康診断を実施することが必要です。検査される項目は、下記のとおりです。

    ・既往歴および業務歴
    ・自覚症状および他覚症状の有無
    ・身長
    ・体重
    ・腹囲
    ・視力および聴力
    ・胸部エックス線
    ・血圧
    ・貧血
    ・血中脂質
    ・血糖
    ・肝機能
    ・心電図
    ・尿検査

    雇入時の健康診断に関しては、労働安全衛生規則第43条で規定されています。入社前の3か月以内、入社後の1か月の間に実施されることが原則です。もしも、入社前の3か月以内に従業員が健康診断を受けていれば、雇入時の健康診断の代わりとすることができます。

    ※参考:労働安全衛生規則第43条 | e-GOV 法令検索


  • 定期健康診断
    常時使用する労働者に対し、会社は1年以内ごとに1度の定期健康診断を実施する必要があります。検査される項目は、下記のとおりです。

    ・既往歴および業務歴
    ・自覚症状および他覚症状の有無
    ・身長
    ・体重
    ・腹囲
    ・視力および聴力
    ・胸部エックス線、喀痰検査
    ・血圧
    ・貧血
    ・血中脂質
    ・血糖
    ・肝機能
    ・心電図
    ・尿検査

    業種によっては上記の項目以外にも、健康診断での検査が義務付けられている場合があります。該当する業種や健康診断の頻度に関しては、次項で詳述します。

    ※参考:労働安全衛生規則第44条 | e-GOV 法令検索


上記の条件以外に健康診断の受診義務があるアルバイト


  • 前述したとおり、健康診断を受けるための条件は、雇用期間・労働時間からの判断が基本です。一方で例外もあるため、留意しておきましょう。


  • 特定業務従事者
    特定業務とは、労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定められた業務です。特定業務の例は、下記のとおりです。

    ・深夜業を含む業務
    ・高熱物体を取り扱う業務および暑熱な場所の業務
    ・低温物体を取り扱う業務および寒冷な場所の業務
    ・異常気圧下の業務
    ・坑内の業務
    ・ラジウム放射線・エックス線・その他の有害放射線にさらされる業務
    ・土石・獣毛などが著しく飛散する場所の業務
    ・さく岩機・鋲打機などによる著しい振動が生じる業務
    ・強烈な騒音を発する場所の業務
    ・有害物を取り扱う業務
    ・病原体による汚染のおそれが著しい業務
    ・重量物を取り扱う業務
    ・その他の厚生労働大臣が定める業務

    特定業務に従事する労働者に対して、会社は6か月以内ごとに1度、および配置転換時に健康診断を実施する義務があります。

    ※参考:労働安全衛生規則第13条 | e-GOV 法令検索


  • 有害業務従事者
    有害業務とは、労働安全衛生法施行令第22条第1項で定められた業務です。有害業務の例は、下記のとおりです。

    ・有機溶剤業務
    ・特定化学物質の取り扱い業務
    ・放射線業務
    ・石綿などの取り扱い業務

    有害業務に従事する労働者に対して、会社は契約形態および週所定労働時間に関係なく、健康診断を実施する義務があります。

    ※参考:労働安全衛生法施行令第22条 | e-GOV 法令検索


アルバイトの健康診断受診料は会社負担?


  • アルバイトの健康診断受診料に関して、会社負担か従業員負担かの法的な決まりはありません。ただし、厚生労働省は健康診断の費用において、法律上の義務ではなくても会社が負担すべきだと、公式に発表しています。もしアルバイトとして健康診断を受ける際に、会社が受診料を負担してくれない場合は、会社規約や方針を確認してみましょう。会社に理由を尋ねたり、相談してみたりすることも重要です。

    ※参考:労働安全衛生法および同法施行令の施行について | 厚生労働省


アルバイトで健康診断を受けたくない場合の対処法


  • アルバイトをしていて健康診断の条件を満たしていても、受診したくないと感じる場合があるでしょう。理由別に、健康診断を受けたくない場合の対処法を解説します。


  • 検査結果を知られたくないケース
    会社に検査結果を知られたくないなら、健康診断を受けたくないと感じるかもしれません。しかし、会社にとっては条件を満たす労働者に対し、健康診断を実施することが法的な義務となっています。健康診断で検査される項目や、会社に伝えられる情報の範囲を正確に知ることで、受診への拒否感が和らぐ場合があります。検査結果の取り扱いに関して、事前に理解しておきましょう。


  • 忙しくて時間がとれないケース
    業務が忙しいと健康診断のための時間確保が難しい場合があります。しかし、健康診断は会社の義務であると同時に、自分の健康を守るための重要な検査です。繁忙期に健康診断を受ける時間がとれないなら、実施のタイミングを変更できないか会社に相談してみましょう。


  • 指定の病院に通いづらいケース
    指定された病院が遠方だったり交通手段が複雑だったりすれば、健康診断を受けたくないと感じやすくなります。また、地理的な問題はなくても、自分で選んだ病院で受診したい場合もあるでしょう。健康診断の病院を選ぶことは、労働安全衛生法で権利として認められています。健康診断の会場を変更したいなら、会社に相談してみましょう。


アルバイトの健康診断に関するQ&A


  • ここでは、アルバイトの健康診断に関してよくある質問と回答について、詳しく解説します。


  • 会社が健康診断を受けさせてくれない場合は?
    条件を満たしているにもかかわらず、会社が健康診断を受けさせてくれないなら、まずは担当者に相談してみましょう。健康診断を受診したい旨を、はっきりと伝える必要があります。希望を述べたにもかかわらず、会社が健康診断を実施しない場合、法令違反に該当し罰則が科されます。条件を満たしている労働者への健康診断は、会社の法的な義務となっており、アルバイトであっても受診が可能です。


  • 健康診断を受けている時間は賃金が発生する?
    厚生労働省によると、円滑な健康診断の実施という観点では会社が賃金を支払うことが望ましいとされています。そのため、健康診断の時間に対して、賃金を支払っている会社もあります。とはいえ、健康診断の賃金に関して、会社に法的な支払義務はありません。受診にかかる時間の賃金は、労使間の協議によって定められるべきだとされています。

    一方、定期健康診断ではなく特殊健康診断については、業務遂行に直接関わるものとして、会社に賃金の支払義務が生じます。前述のとおり、特殊健康診断とは、特定業務従事者・有害業務従事者に必要な健康診断のことです。

    ※参考:健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか? | 厚生労働省


まとめ


  • アルバイトであっても雇用期間・労働時間の条件を満たしていれば、健康診断を受けられます。会社は条件を満たす労働者に対して、正社員・アルバイトなどの雇用形態を問わず、健康診断を受診させる法的な義務があります。アルバイトとして働いていて、健康診断を受けたいと思った場合は、まずは自分の契約内容を確認してみましょう。

    健康診断を受けるには、アルバイトを一定期間以上継続していることも、条件の1つです。そのため、長く続けられる職場選びが重要なポイントとなります。自分に合ったアルバイトを探すなら、求人サイト「シフトワークス」の利用がおすすめです。時間・曜日で絞って職場を検索できるので、アルバイト探しの際はぜひ活用してください。