パートの収入ってどれくらい?平均年収や「年収別の壁」をわかりやすく解説
- パートを始める際にネックとなるのが年収の壁です。この記事では、「新たにパートを始めたい」「今後パートを増やしたい」と考えている人に向けて、年収の壁について解説します。
年収の壁ごとの詳細や、パートの年収における平均なども解説するので、参考にしてください。
- 厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果確報」によると、パートの年収の平均は約122万円です。
「パートタイム労働者」の平均月間給与額における月収は101,854円となっています。月間の総労働時間の平均は79.2時間で、出勤日数の平均は13.6日です。
参考:毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果確報|厚生労働省
- 主婦に限るとパートの平均月収・年収は低くなる傾向
対象者を主婦に限定すると、パートの平均月収・年収は低くなる傾向にあります。厚生労働省の調査におけるパートタイム労働者の定義は、以下の通りです。
・1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者
つまり、正社員や正職員以外に、パートタイマー・アルバイト・嘱託・契約社員・臨時社員・準社員なども含まれます。
特に、パート主婦は年収の壁を意識して、収入を調整する人が多い傾向にあるため、実際はパートタイム労働者の平均より低くなりがちです。
参考:パートタイム労働者とは|厚生労働省
- パートの年収を確認する際は、いくつかポイントがあります。以下は、代表的なポイントとそれぞれの詳細です。
- 「扶養」には2種類ある
扶養には、税制上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があります。まず、税制上の扶養は、年収103万円以下の場合に限り、扶養者の所得から一定の金額が控除されます。控除額が増えると扶養者の課税所得が減るため、納税額も減ることがメリットです。
社会保険上の扶養では、年収が106万円以下または130万円以下の場合、自分の社会保険料を納めることが免除されます。なぜなら、社会保険の被扶養者となっているからです。
しかし、被扶養者が配偶者の場合でも20歳以上の子どもや親については、別途で国民年金保険料の納付が必要です。
- 交通費の扱いは状況により異なる
基本的に年収に交通費は入りませんが、状況によって扱いは異なります。具体的には、毎月の交通費が15万円を超える場合かつ、以下のような状況で年収に含まれる扱いになります
・15万円から超えた分の差額の交通費
・交通費が一律支給かつ、実際の交通費より上回る
さらに、社会保険上の扶養にかかわる130万円の壁については、年収が交通費も含んだ金額になるため注意しましょう。
- 主婦のパート収入の金額に応じて、住民税・所得税・社会保険料・配偶者・配偶者特別控除額の扱いが変わります。以下で、それぞれの詳細について解説します。
- 住民税・所得税
住民税は、都道府県に納める都道府県民税と、市区町村に納める市町村民税の総称です。なお、東京の場合はそれぞれ都民税と特別区民税と名前が変わります。
基本的に、住民税は年収100万円以上で課税される他、所得税は年収103万円以上で課税されます。住民税と所得税では、課税される給与収入のラインが異なるため注意しましょう。
なお、交通費などの手当は年収に含まれません。自治体によっては、年収90万円台から住民税が発生する可能性もあります。
- 社会保険料
社会保険料は、さまざまな保険にかかる保険料をまとめて指す言葉です。社会保険に含まれる保険料は、以下の通りです。
・医療保険
・(厚生)年金保険
・雇用保険
・介護保険
・労災保険
雇用保険以外の保険料に関しては、会社と労働者で折半して支払います。半分でも保険料の負担は小さくありませんが、将来的に老齢厚生年金が受け取れたり、障害厚生年金・遺族厚生年金などの保障を受けられたりするなど、メリットも多岐にわたります。
- 配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者控除・配偶者特別控除は、扶養者の合計所得が1,000万円以下か、給与所得のみの年収が1,195万円以下の場合に適用されます。配偶者控除・配偶者特別控除のメリットは、一定の条件を満たすと扶養者の税負担が軽くなることです。
パートの年間合計所得額が48万円以下か、給与のみの年収が103万円以下なら配偶者控除を受けられます。さらに、103万円を超えると配偶者特別控除が適用されて、年収が201.6万円になるまで段階的に控除を受けることが可能です。
- パート収入額によって変わる税金・社会保険・配偶者控除の関係を紹介します。なお、配偶者控除は、扶養者の年収が1,095万円以下・1,095万円~1,145万円以下・1,145万円~1,195万円以下の3パターンを記載しているので参考にしてください。
- パートの年収が150万円~201.6万円未満の場合、扶養者の収入が1,095万円以下・1,145万円以下・1,195万円以下の3段階の組み合わせで、36万円から1万円で配偶者特別控除が受けられます。
- 年収の壁による違いは多いため、適切に把握することが大切です。ここからは、それぞれの年収の壁における詳細や違いなどを解説します。
- 年収100万円の壁
年収が100万円以内であれば、基本的に住民税はかかりません。住民税は、前年の課税所得を基準として、医療費や生命保険料などの所得控除と、基礎控除を引いた額に税率をかけて算出します。
しかし、自治体によって基準が異なるため注意が必要です。年間5000円程度の住民税の均等割分は、自治体によっては年収90万円台でもかかる場合あります。
- 年収103万円の壁
103万円以内であれば、所得税がかかりません。なお、扶養者の勤務先から配偶者手当や家族手当をもらっている場合は、年収103万円以内であることが、適用の基準となっている場合が多いため、詳細を確認しておきましょう。
ただし、103万の壁による影響は少ないため、基本的には意識する必要はありません。
- 年収106万円の壁
年収が105.6万円、平均月収が8.8万円を超えつつ、一定の条件を満たすと社会保険への加入が義務付けられます。2023年現在における一定の条件は、以下の通りです。
・厚生年金の被保険者数が101人以上の会社で働いている
・週の所定労働時間が20時間以上
・雇用期間が2か月を超える
・学生ではない
・2024年10月以降、会社規模51名以上に条件が拡大される予定
参考:パート・アルバイトのみなさま | 社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省
- 年収130万円の壁
年収が130万円を超えると、条件を問わず社会保険の加入が義務付けられます。ただし、106万円の壁の時点で、社会保険の加入が義務付けられる条件を満たしている場合は関係ありません。
勤務日数・時間など、会社の社会保険に加入する条件を満たしている場合は、会社の社会保険に加入します。そして、給料から厚生年金・健康保険・介護保険などの社会保険料が天引きされます。
会社の社会保険に加入する条件を満たしていない場合は、国民年金・国民健康保険・介護保険などの保険料を手続きして支払いましょう。
年収130万円の壁は、いわゆる扶養者の扶養から外れる状態を指します。また、これらの年収の壁の解消に向けて、厚生労働省が年収の壁支援パッケージを提供しています。
厚生労働省|年収の壁・支援強化パッケージ
- 年収150万円の壁
年収が150万円を超えると、扶養者の配偶者特別控除が38万円から段階的に減るため注意が必要です。
なお、控除額は扶養者の年収・配偶者の年収によって異なります。そして、実際には150万円の壁を超えても、手取り収入は増えることがほとんどです。
- 年収201万円の壁
扶養者の配偶者特別控除は、配偶者の年収が150万円を超えると段階的に減っていきます。そして、年収201.6万円以上になるとゼロになり、控除の恩恵がなくなります。
- パートの年収の平均や、パートの年収を確認するときのポイント、年収の壁の概要やそれぞれの種類の詳細などを解説してきました。100万円から200万円までの間に、さまざまな年収の壁があります。
そして、それぞれの壁ごとに注意するべき事項あるため、自身の状況的に最適な年収になるように調整することが大切です。
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