パートの契約を更新しない場合は会社都合になる?失業保険での扱いも解説
- パートの契約を更新しない場合、会社都合の退職として認められるか気になっている人もいるでしょう。会社都合の退職になるかどうかは、失業保険の受け取りにも関わるため重要です。この記事では、パートで働く人に向けて、契約更新をしないと会社都合の退職になるのか解説します。契約更新を希望する場合の対処法や失業保険の受け取りについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
- パートの契約を更新しなかった場合、会社都合の退職として認められるのでしょうか。状況別に解説します。
- 契約途中の場合
パートの契約期間の途中で会社側から退職を促すことは「退職勧奨」にあたります。退職勧奨に強制力はなく、従業員も退職に応じる必要はありません。退職勧奨を受けて従業員が合意したとしても、原則として会社都合による退職とみなされます。
- 契約満了の場合
契約満了に際して従業員が更新を希望したものの、会社側の判断により更新されなかった場合は「雇い止め」です。雇い止めは、会社都合による退職と認められるケースもあります。具体的にどのような場合が会社都合にあたるのかについては、以下で詳しく解説します。
パートの契約が更新されない場合に会社都合となるケース
- 更新を希望したものの更新されなかった場合、会社都合の退職としてみなされるケースがあります。具体的にどのようなケースが該当するか解説します。
- 3年以上雇用され、更新が1回以上あった場合
契約から3年以上継続して雇用されており、過去に1回以上契約更新しているケースでは、契約更新の希望が会社側の判断により認められなかった場合、会社都合の退職となります。
- 契約時に契約の更新が確約されていた場合
契約の際に交わした雇用契約書において契約更新を前提とする記載があるケースにおいても、契約更新の希望が会社側の判断により認められなかった場合、会社都合の退職として認められます。
- 契約更新の可能性があることを示されていた場合
契約時や契約期間中、更新や延長の可能性について明示されていたケースでも、契約更新の希望が会社側の判断により認められなかった場合、会社都合の退職とみなされます。
- 雇い止めが無効になるケースは、具体的にどのような状況でしょうか。以下で詳しく解説します。
- 従業員から契約更新の申し込みがあった場合
契約期間が満了するまでに従業員が契約更新の申し込みをした場合、雇い止めは無効です。また、契約期間の満了後に遅滞なく従業員が契約更新の申し込みをしている場合も、同様の扱いになります。
- 実質的に無期雇用契約となっている場合
契約更新が何度も繰り返されており、実質的に無期雇用となっている場合も、雇い止めは無効となります。従業員にとって契約更新を期待する合理的な理由があると認められるためです。
- 雇い止めに合理的な理由がない場合
雇い止めの理由に合理性がないと判断される場合も、雇い止めは無効です。たとえば、長期間雇用されており、正社員と同じ業務を任されているケースが該当する可能性があります。このケースにおいては、業務に必要な従業員の能力の保持や、業務の規模も変わらないことなどが前提です。
- 雇い止めが有効になるケースは、具体的にどのような状況でしょうか。以下で詳しく解説します。
- 契約更新や雇用期間の限度が明示されている
契約の際に更新回数や雇用期間が明示されているケースでは、契約満了時の雇い止めが有効になる可能性があります。ただし、更新回数や雇用期間が設定されたタイミングが契約締結後であれば、会社都合による雇い止めは無効です。
- 更新のたびに合意書や契約書を交わしている
契約更新のたびに合意書や契約書を毎回やり取りしているケースでは、契約満了時の雇い止めは有効です。ただし、雇い止めにするためには、契約満了1か月前までに契約更新を行わない旨を会社側が従業員に伝える必要があります。
- 業務内容が正社員と異なる
パートの従業員と正社員の業務内容が明確に分けられているケースでは、契約満了に伴う雇い止めが有効とされる場合が多いです。一方、業務内容が雇用形態によって分けられていないケースでは、契約満了時の会社都合による雇い止めが無効とされる可能性があります。
- パートの契約を更新してほしい場合、どのように対処すればよいのでしょうか。以下で対処法を解説します。
- 契約更新を希望する意思を明確に示す
パートの契約について更新を希望するなら、その旨を明確に雇い主へ伝える必要があります。契約期間の満了前または満了後に遅滞なく示すことが重要です。意思を伝える際は口頭だけでなく、文書で通知すると証拠になります。後から証拠として使用するためには、内容証明郵便を利用しましょう。
- 雇用契約書の内容を確認する
パートの契約更新についての取り決めが雇用契約書に記載されている場合があるため、確認しましょう。契約を更新するには、更新や延長について雇用契約書内で確約されている必要があります。更新が行われる基準について記載されている場合は、その基準を満たしているかチェックしてください。
- 契約を更新しない理由を確認する
雇い止めになりそうな場合は、雇い主に契約を更新しない理由を確認しましょう。理由が合理的でなければ、雇い止めは無効になる可能性があります。また、契約が満了する30日前に雇い止めの予告があったかどうかもポイントです。過去に契約更新を期待させる発言がなかったかについても、振り返りましょう。
- 会社都合による雇い止めが行われた場合、公共の相談先への相談が可能です。具体的な相談先を紹介します。
- 厚生労働省の総合労働相談センター
厚生労働省は、雇用問題についての相談先として総合労働相談センターを設置しています。労働条件、賃金、解雇など雇用に関するさまざまな問題について相談できます。無料で相談でき、専門知識をもつ相談員からアドバイスを受けることが可能です。
- 都道府県が設置する労働相談センター
各都道府県も個別に労働相談センターを設置しています。厚生労働省の総合労働センター同様、基本的に無料で雇用問題について相談できます。契約を更新してほしい場合の対処法なども確認できるでしょう。
- 弁護士事務所
会社都合の雇い止めについては、弁護士事務所にも相談できます。弁護士事務所によっては無料で相談できるところもあるため、探してみましょう。弁護士に相談すれば、専門家の力を借りて法的な解決を目指せる可能性があります。
パートの契約を更新しない場合は失業保険を受け取れる?
- パートの契約を更新しない場合、失業保険は受け取れるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
- 失業保険をもらう条件
失業保険をもらうには、前提として勤務先で雇用保険に加入している必要があります。雇用保険に加入できる条件は、31日以上の継続的な雇用が見込まれ、一週間の所定労働時間が20時間以上であることです。パートであっても、条件を満たせば雇用保険に加入できます。
また、雇用保険に加入している人が失業保険をもらうには、離職日以前の2年間に、被保険者である期間が通算12か月以上なければなりません。就労の意思があることも条件です。
- 契約満了により退職した場合
契約満了で雇い止めに該当しない場合は、基本的に自己都合退職となります。一般的には、自己都合退職では失業保険がすぐに給付されず3か月の給付制限がつきます。しかし、この場合は3か月の給付制限がつかず、すぐに失業保険の受け取りが可能です。受給日数は被保険者であった期間によって決まります。
- 会社都合で退職するケース
会社都合で退職する場合は特定受給資格者に該当します。特定受給資格者は給付制限の期間がなく、失業保険の給付日数も長くなります。会社都合の退職に対する失業保険の給付は、雇用保険の加入期間が6か月以上であれば申請可能です。自分の意思によらない退職であるため、保障が手厚くなっています。
- 失業保険を受給する際の流れ
失業保険を受け取るには、雇用主に「雇用保険被保険者離職票」を発行してもらう必要があります。受け取った離職票をハローワークへ提出し、受給資格の決定を受けましょう。その後7日間の待機期間を経て雇用保険受給説明会に参加すると、失業認定を受けられます。失業認定日が通知されるため、失業認定日当日に再びハローワークへ行きましょう。
給付制限の期間がない場合、銀行振込で失業手当が振り込まれます。その後は4週間ごとに失業認定と失業手当の振込が繰り返される仕組みです。
- パートの契約が更新されない場合に会社都合の退職として認められるかどうかは、状況によって異なります。契約更新を希望するなら、今回解説した方法で対処しましょう。不当な扱いがあれば、労働相談センターや弁護士事務所などへの相談も可能です。
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