パートはボーナスをもらえる?目安や確認方法・税金の計算方法も解説
- 勤め先の企業によっては、パートでもボーナスがもらえるかもしれません。正社員のみボーナスをもらえると考えている人もいるかもしれませんが、企業のルールや働き方によっては、パートでもボーナスをもらえます。
この記事では、パートでもボーナスをもらえるかを確認する方法や、もらえる金額の目安などを解説します。税金の計算方法や注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- ボーナスとは、固定給以外で従業員がもらえる報酬のことです。ボーナスの支給は法律で義務付けられていないため、もらえるかは企業次第です。支給額も企業ごとに変わり、一律の額ではなく業績や個人の貢献度を加味して算出される場合もあります。なお、ボーナスがもらえる場合は、一般的に年に2回、夏と冬に支給されます。
- ボーナスと賞与には明確な違いはありません。ボーナスは賞与を意味する英語であり、企業や業界によってボーナスの呼び名は異なります。他にも「特別手当」「夏期手当」「年末手当」などと言い表される場合もあります。
- 職場によっては、パートもボーナスをもらえる可能性があります。ボーナスをもらえるかもしれない理由を、パートをはじめとする有期雇用労働者を守る「同一労働同一賃金」の考え方に触れつつ解説します。
- 同一労働同一賃金とは
同一労働同一賃金は、2020年4月から施行された「パートタイム・有期雇用労働法」をスムーズに実行するためのガイドラインです。法律が施行された目的は、企業や団体内において、雇用形態が異なる従業員間で発生する不合理な待遇差をなくすことです。
法律施行当初の対象は大企業のみでしたが、2021年4月からは中小企業も対象になりました。
※参考:パートタイム・有期雇用労働法~同一労働同一賃金について~|厚生労働省
- 同一労働同一賃金の対象になる人
同一労働同一賃金は、パートを含むすべての従業員が対象です。ただし、ボーナスの支給に関しては、企業によって対応が異なります。
業務内容や責任の範囲が正社員と同等なら、パートでもボーナスをもらえるかもしれません。しかし、正社員と労働時間が異なるパートは、ボーナスをもらえなくても「不合理な待遇差」とは見なされず、同一労働同一賃金の考え方に該当しない場合もあります。
- パートがもらえるボーナスは、2、3万~5万円前後が一般的です。多くの企業では、同じ勤続年数でも正社員とパートではボーナスの額が変わります。ただし、企業の規模によっては、正社員と同じくらいの額が支給される場合もあります。
- ボーナスをもらえるかは、求人票・就業規則・雇用契約書を確認すると分かります。ただし、従業員が10名未満の職場では就業規則がない場合もあります。また、求人票は、その時点で募集していなければ見られません。
雇用契約書には賃金に関して明記する決まりがあるため、ボーナスの支給について確認できる可能性が高いといえます。
- ボーナスの種類は、主に基本給連動型賞与・業績連動賞与・決算賞与の3種類です。各ボーナスは、支給額の算出方法や支給時期が異なります。
- 基本給連動型賞与
基本給連動型賞与は、基本給に応じてボーナスが決まります。「ボーナスが基本給〇か月分」という企業は、基本給連動型賞与を採用しています。
ボーナスを算出する際の基本給は、月給の総額から残業手当や役職手当などを除いた額です。ボーナスがいくらもらえるか計算する際は、実際に振り込まれた額ではなく、給与明細の基本給を確認しましょう。
- 業績連動型賞与
業績連動型賞与では、企業や個人などの業績に応じたボーナスが支給されます。この賞与を採用するメリットは、企業側は働きに見合ったボーナスを支給でき、従業員側としても働くモチベーションが高まることです。一方、業績が低迷するとボーナスも減る可能性がある点は、業績連動型賞与の注意すべき点といえます。
なお、業績連動型賞与を採用する企業の多くは、ボーナスを算出した根拠を公開しています。
- 決算賞与
決算賞与を採用している企業では、決算時の業績に応じたボーナスが支給されます。ボーナスの支給時期は事業年度終了日の翌日から1か月以内で、事業年度は企業ごとに異なります。また、企業によっては、年に2回のボーナスとは別に決算賞与も支給するところもあります。
- 固定給以外の報酬という意味では、ボーナスも寸志も同じです。会計上も、ボーナスと寸志の勘定科目はいずれも「賞与」に該当し、税金がかかります。ただし、一般的に寸志はボーナスよりも少額です。
寸志を渡す目的は、感謝の気持ちを示すことです。例えば新入社員は、夏のボーナスの時期には数か月程度しか在籍していません。しかし、企業としては新入社員にも感謝を示すために、ボーナスではなく寸志を渡します。
- ボーナスでもらえる報酬からは、税金が引かれています。引かれる税金の内訳と計算方法を解説します。
- 所得税
所得税は、所得にかかる税金です。日本は累進課税制度を採用しており、所得が増えるごとに適用される所得税率が上がります。ボーナスにかかる所得税は「(ボーナス額面金額-社会保険料)×所得税率」で計算できます。所得税率は、国税庁のサイトに記載されている数値を使って計算しましょう。
- 健康保険料
健康保険料は、病気やケガなどの治療費の負担を抑えるための税金です。ボーナスにかかる健康保険料は「ボーナス額面金額(1,000円未満切り捨て)×健康保険料率」で計算できます。健康保険料率は、所属する健康保険組合や住んでいる地域によって変わります。
- 介護保険料
40歳以上65歳未満の従業員は、介護保険料も支払います。ボーナスにかかる介護保険料は「ボーナス額面金額(1,000円未満切り捨て) × 介護保険料率(18.2/1000)」で計算できます。介護保険料率は毎年見直され、2023年度は全国一律で「18.2/1000」です。
※参考:協会けんぽの介護保険料率について |協会けんぽ|全国健康保険協会
- 雇用保険料
雇用保険料は、失業手当や育児休業などの財源となる税金です。ボーナスにかかる雇用保険料は「ボーナス額面金額(1,000円未満切り捨て)×0.3%」で計算できます。「0.3%」とは2023年度における「一般の事業」の雇用保険料率です。雇用保険料率は毎年見直され、業種によっても数値が異なります。
※参考:令和5年度雇用保険料率のご案内|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
- 厚生年金保険料
厚生年金保険料は、老齢年金や障害年金などの財源となる税金です。ボーナスにかかる厚生年金保険料は「ボーナス額面金額(1,000円未満切り捨て)×18.3%÷2」で計算できます。「18.3%」とは、全国一律の厚生年金保険料率です。近年、厚生年金保険料率は段階的に引き上げられ、2017年以降は18.3%で固定されています。
※参考:厚生年金保険料額表|日本年金機構
- 配偶者の扶養内で働いている人は、ボーナスに応じて働く時間を調整しなくてはいけません。年収が103万円以上を超えると、配偶者控除が外れるうえに、所得税の納税義務が発生します。年収が130万円以上になれば、社会保険の扶養からも外れます。収入を増やすためにパートしても、自分の年収によっては世帯年収が減ってしまうかもしれません。
年末になってから働く時間を調整したいと申し出ても、考慮されない可能性もあります。働き始めたらボーナスの支給状況を確認し、早い内から働く時間を調整しましょう。
- パートでも、勤め先の企業によってはボーナスをもらえる可能性があります。企業規模によっては正社員同等のボーナスをもらえる場合もありますが、一般的なパートのボーナスは数万円程度と留意しておきましょう。
そして、ボーナスをもらった結果年収が増えると、扶養を外れたり所得税の納税義務が発生したりする恐れがあります。手元に残るお金が少なくならないように、ボーナスの支給状況を確認して働く時間を調整してください。
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