バイトも残業代がもらえる?正しい計算の仕方や残業に含まれる時間とは

  • バイトをしていると、シフトに入っている時間をオーバーして残業するケースもあるでしょう。その際には、働いた分は残業代としてしっかり報酬を受け取る権利があります。計算方法は、シフトの時間や働く時間帯などによっても異なるので、把握しておきましょう。

    この記事では、バイトの残業代を計算する方法や割増賃金について詳しく解説します。ぜひ、参考にしてください。

バイトでも残業代は出る?

  • 残業代は、バイトでも発生します。ここからは、バイトの残業代について、詳しく解説します。
  • 働いた時間分は給料の支払い対象になる
    バイトなどの雇用形態に関わらず、労働したと判断される時間はすべて給料の支払い対象です。5時間勤務の予定でも、実際働いた時間が6時間になれば、1時間の残業代が支給されます。

    バイトだからといって残業代が支払われなかった場合は、法律違反にあたります。未払いの残業代は、2年間まで遡って請求できるので、きちんと把握しておきましょう。
  • 残業代に割増賃金が加算される場合もある
    残業した時間によっては、割増賃金が発生するケースがあります。割増賃金の適用も、雇用形態は関係ありません。

    残業代は、法定労働時間内であれば、通常の賃金で計算されますが、法定労働時間を超えた場合は、残業手当として割増賃金が発生します。割増賃金については、法定労働時間と所定労働時間について知っておく必要があります。
  • <法定労働時間とは?>
    労働基準法では、1日に働く時間の上限が決められています。この上限は「法定労働時間」と呼び、週40時間以内かつ1日8時間以内となっています。

    雇用元の指揮下にいる状態であれば、労働時間とみなし、雇用形態に関わらず法定労働時間を超えてはなりません。万が一超えてしまった場合は、残業した時間は、割増賃金を含めて残業代の支払いが義務付けられています。
  • <所定労働時間とは?>
    所定労働時間は、法定労働時間のなかで、従業員それぞれに合わせて決めた労働時間です。所定労働時間は法律で決められているわけではないので、企業や雇用形態によって異なります。

    たとえば、8時~17時(休憩時間1時間)などで8時間のフルタイムとなる場合や、17時から21時の4時間など、短い時間で設定されている場合もあります。
  • 職場によっては残業手当が別途支給されている場合もある
    バイト先によっては、一定の残業を見越して、あらかじめ固定残業代が支給されているケースがあります。その場合、残業代は手当に含まれるため、その都度の支払いはありません。

    ただし、支給されている固定残業代では賄えないほどの残業がある場合は、就業規則によっては支払ってもらえる可能性があります。就業規則を確認して、固定残業代の金額や含まれている残業時間を把握しておきましょう。

バイトの残業代に割増賃金が加算されるパターン

  • 残業によって労働時間が長くなった場合、残業代が支給されますが、場合によっては割増賃金が発生します。通常の賃金に上乗せして計算が必要なため、しっかり把握しておきましょう。

    割増賃金が発生するパターンと割増率は、以下の通りです。

    ・法定労働時間を超える場合:25%
    ・1か月の残業時間が60時間を超える場合:50%
    ・22時~翌5時までの深夜勤務の場合:25%
    ・法定休日に出勤した場合:35%

    複数の条件が重なる場合は、それぞれの割増率が適用されます。たとえば、法定労働時間を超えており、さらに深夜勤務の場合は、割増率は50%です。

バイトで残業代を見落としがちなケース

  • バイトとして、バイト先の指揮下にある状態ならば、その時間は労働時間として計算しなくてはいけません。たとえば、バイト先から、所定労働時間よりも1時間早く出勤するよう指示があれば、その時間も労働時間として計算し、オーバーした分は残業代の対象です。

    以下のようなケースは、労働時間として含まれますが、見落としがちなので把握しておきましょう。

    ・長時間にわたる始業前ミーティング
    ・業務と業務の間の待ち時間
    ・制服を着替える時間
    ・研修や業務面談
    ・上司の指示により休憩時間中に業務をした場合
    ・他店のヘルプに行く場合の移動時間

    なお、バイト中の休憩時間や通勤時間は、自由に行動できると判断できるため、労働時間には含まれません。

【ケース別】バイトの残業代を計算する方法

  • バイトの残業代は、場合によって計算方法が異なります。ここからは、時給1,200円・5時間勤務・週6日で働いていると仮定し、ケース別に計算方法の例を解説します。
  • 1日の労働時間が8時間以内に収まる場合
    法定労働時間に収まっている場合、残業代も通常の賃金計算と一緒です。たとえば、9:00~14:00のシフトだったが、休憩以外に2時間残業した場合だと、所定労働時間の5時間と残業の2時間を足して7時間勤務となり、8時間以内になるため、割増賃金は発生しません。前述の例で考えると、計算方法は以下になります。

    【残業代の計算式】1,200円×2時間=2,400円
  • 1日の労働時間が8時間を超える場合
    法定労働時間の8時間を超えると、割増賃金が発生します。たとえば、9:00~14:00のシフトで、休憩以外に4時間残業した場合だと、所定労働時間の5時間に、残業の4時間を足して9時間勤務したことになります。これは法定労働時間の8時間を超えるため、1時間分は25%の割増賃金となります。この場合の残業代の計算方法は、以下の通りです。

    【法定労働時間内】1,200円×3時間=3,600円
    【法定労働時間の超過分】(1,200円×1.25)×1時間=1,500円
    【残業代の合計】3,600円+1,500円=5,100円
  • 深夜労働が含まれる場合
    たとえば、15:00~20:00のシフトだったが、休憩以外に4時間残業した場合で考えます。所定労働時間の5時間に残業の4時間を足すと9時間となるため、1時間分は25%の割増賃金です。

    さらに、休憩を1時間取っていたとすると、25時まで働いているため、22~25時の3時間分には25%の深夜手当が発生します。この場合の計算方法は、以下の通りです。

    【法定労働時間内】1,200円×1時間=1,200円
    【深夜労働の分】(1,200円×1.25)×2時間=3,000円
    【法定労働時間の超過+深夜手当】(1,200円×(1.25+0.25))×1時間=1,800円
    【残業代の合計】1,200円+3,000円+1,800円=6,000円
  • 休日出勤した場合
    前述の通り、休日出勤には、35%の割増賃金が発生します。たとえば、週6日のシフトで法定休日となる日曜日に、5時間の休日出勤をした場合は、通常の賃金に割増賃金を上乗せして計算します。計算式は以下の通りです。

    【残業代(休日出勤分)の計算式】(1,200円×1.35)×5時間=8,100円

バイトの残業代は短時間でも支給される?

  • 残業代は、15分や30分などの短い時間であっても、切り捨てはできません。たとえ1分でも残業していれば、残業代が支給されます。

    業務が始まる前や終わった後に、バイト先からの指示があり、少しでも働いた場合は、残業として扱われる必要があるため、きちんと計算されているか確認が必要です。

バイトで残業代がもらえていない場合はどうする?

  • バイトで残業したにもかかわらず、残業代を支払ってもらえていない場合、以下の3つの対処方法があります。過去2年間は遡って請求できるので、支給漏れがないかチェックしておきましょう。
  • 残業代の証拠を取っておく
    残業代が支払われていないと思った際には、まず、残業した証拠となるものを残しておきましょう。残業の証拠となるものには、タイムカードや労働時間を記載したメモ、シフト表、上司や先輩からの業務指示のメッセージなどがあります。

    残業代が本当に支給されていないのか、証拠から確認してみることも大切です。また、未支給であるとわかるように、給料明細もきちんと保管しておきましょう。
  • バイト先に直接確認する
    残業代が支給されていない場合、まずは上司や管理者に相談します。故意ではなく、バイト先の処理ミスであれば、スムーズに対応してもらえるでしょう。先述した残業の証拠を持っていくと話がスムーズです。

    残業の支払いは雇用主の義務なので、故意の未払いや支払いの拒否があるような場合は、専門家へ相談する必要があります。
  • 専門の窓口に相談する
    バイト先でなかなか対応してもらえない場合は、労働基準監督署や弁護士、社会保険労務士など、労働問題に対応している窓口に相談するのも手です。ここでも、証拠を提出したうえで事情を説明すると効果的です。

    専門窓口を挟むと、バイト先が行政指導の対象となったり、罰則の対象となったりする可能性があるため、早急に対処してもらえる可能性が高まります。

まとめ

  • バイトも、残業すれば残業代が支払われます。さらに、残業によって法定労働時間を超えるのであれば、割増賃金も加算しなければなりません。働いた分の支給がないのは法律違反なので、堂々とバイト先に確認しましょう。

    また、バイト先で残業代の未払いがあるなど、働きにくいと感じている場合は、バイトを変えることも1つの手です。「シフトワークス」を活用すれば、働き方に合わせた仕事探しができます。

    残業で悩んでいて、バイト先を変えようと考えている方は、ぜひ一度求人を検索してみてください。