アルバイトで起こり得る労働基準法違反とは?違反の例や内容、相談先を紹介します

  • 労働条件の最低基準を示した労働基準法は、アルバイトにも適用される法律です。

    本記事ではアルバイト先で起こる可能性がある労働基準法違反について、違反の例や内容を解説するとともに、違反が疑われる場合の相談先をご紹介します。ぜひ参考にしてください。


労働基準法とは?


  • 労働基準法とは、労働契約や賃金、労働時間、安全基準、就業規則など、労働者を雇用する上で雇用主が満たすべき労働基準を定めた法律です。

    例えば、労働基準法で定められている一日の労働時間の8時間よりも長い時間働き、1時間以上の休憩が与えられていないなどの場合は、労働基準法違反とみなされます。


アルバイトでも労働基準法が適用される


  • 労働基準法は、正社員や契約社員、アルバイトなど労働形態を問わず適用される法律です。労働者が受けるべき最低限の権利は、労働基準法によって保護されています。ただし、アルバイト先によっては、労働基準法に違反している可能性もあります。

    社内規定や給与、労働時間に関する労働基準法違反について、次項から解説します。


給与に関する労働基準法違反


  • まずは、給与に関する労働委準違反に該当するケースをいくつか解説していきます。


  • 給与が最低賃金を下回る
    アルバイトに支払われる給与が最低賃金を下回った場合は、労働基準法違反にあたります。最低賃金は「最低賃金法 第4条1項」によって都道府県ごとに規定された給与の最低ラインです。

    たとえ労働者本人との間で同意があったとしても、最低賃金を下回る金額で設定された最低賃金は、無効とみなされます。最低賃金は毎年更新されており、万が一アルバイト先の時給が更新されておらず据え置きのままだと、どこかの時点で最低賃金を下回る可能性があるため、注意が必要です。


  • 極端な減給措置
    極端な減給措置も労働基準法違反に該当するケースです。例えば、遅刻や欠勤など、業務において減給とみなされる行為を明確にした上での減給措置は認められているものの、極端な制裁が課せられないよう限度が設けられています。

    「労働基準法 第91条」による規定によれば、減給は「一回の額が平均賃金の一日分の半額」あるいは「総額が一定支払期間の賃金の総額の十分の一」を超えてはならないと規定されています。


  • 残業手当が付与されない
    残業をしたにもかかわらず残業手当が付与されない場合は、労働基準法違反とみなされます。所定の労働時間を超えて働いた場合は、残業手当の支払いが必要です。

    残業手当の支給は、アルバイト・正社員に関わらずすべての労働者に保障されている権利です。過去に未払いの残業代があれば、後から請求できる場合もあるので、確認してみましょう。


  • 時間外手当が付与されない
    法定労働時間としては「一日8時間」あるいは「週40時間」が定められていますが、これを超えた分の労働時間に対しては、時間外手当(割増賃金)の支給が必要です。時間外手当は「労働基準法 第37条」によって規定されている権利です。時間外手当が付与されない場合も労働基準法違反に該当します。

    8時間以上を超えて働いた場合は時間外手当として25%以上、夜22時から朝5の間は深夜手当として25%以上、休日の労働は休日手当として35%以上と、それぞれ割増率が異なります。


労働時間に関する労働基準法違反


  • 次に、労働時間に関する労働基準法違反にはどのようなケースがあるか、一つひとつ解説していきます。


  • 休憩時間が付与されない
    休憩時間が設定されていない場合、労働基準法違反となります。厳密には、労働時間が6時間以上8時間未満の勤務では最低45分の休憩、労働時間が8時間以上の勤務には最低1時間の休憩の付与が必要です。

    また、規定より短い休憩時間の付与も違反とみなされます。休憩時間の付与は「労働基準法第 34条1項」により規定されています。なお、休憩は労働時間の途中に一斉に取得するか、あるいは各々自由に取得できるものの、勤務時間の最後に休んだり、後日に持ち越したりすることは認められていません。


  • 無給の拘束時間が発生する
    無給の拘束時間が発生すると、労働基準法違反とみなされます。例えば、業務就業前の朝礼や清掃などは、労働時間に当てはまると考えられます。

    また、労働時間とは「雇用主の命令指揮下に置かれている時間帯」を指し、「平成12年3月9日最高裁第一小法廷判決 三菱重工長崎造船所事件」の判例によって定義されたものです。


  • 18歳未満に深夜勤務をさせる
    18歳未満のアルバイト従業員に深夜勤務をさせるのは、労働基準法違反にあたります。午後22時から午前5時までは深夜勤務に該当します。18歳未満の深夜勤務禁止は「労働基準法 第61条」および「労働基準法 第58条」によって規定されています。

    法律違反を避けるために、18歳未満や高校生は採用しないルールを設けている企業も少なくありません。


  • 連勤により休日が不足する
    連勤により休日が不足するのも、労働基準法違反とみなされます。シフト勤務の場合は組み方によっては連勤が発生しやすいため、注意が必要です。

    「労働基準法 第35条」によれば、週に1日以上、または4週間を通じて4日以上の休日の付与が必要と規定されています。さらに、1日に8時間以上、1週で40時間以上の勤務が発生する場合は、25%の割増賃金の支払い義務も発生します。


社内規定に関する労働基準法違反


  • 社内規定に関しても、労働基準法違反に該当する場合があります。主なケースを5つ紹介します。


  • 遅刻や欠勤にペナルティがある
    遅刻や欠勤にペナルティが設けられていると、労働基準法違反に問われます。これは「労働契約法 第15条」による規定です。減給や出勤停止といったペナルティではなく、罰としての掃除は業務命令として認められるケースがあります。

    就業規則で減給、出勤停止懲戒規定を設けるには、客観的かつ合理的な理由・事由を明記した上で、社会通念上相当であると認められる範囲内において可能です。


  • 罰金制度が設けられている
    アルバイトに対して罰金制度が設けられている場合は、労働基準法違反とみなされます。仕事中に物を破損するなどのミスやノルマの未達成、あるいは仕事をやめたいなど、業務上の不履行とみなされる行いに対し、違約金や損害賠償などの罰金を科すことはできません。これは「労働基準法 第16条」によって規定されています。


  • ノルマが設定されている
    アルバイトの業務におけるノルマの設定も、労働基準法違反です。売上目標そのものを立てるのは問題ありませんが、アルバイト個人に対してノルマを設けること、さらに売上を達成できなかった場合の商品の買い取りを強制することは禁じられています。これは、「労働基準法 第24条」によって規定されています。


  • 予告や手当のない解雇
    事前の予告や手当のない解雇は、たとえアルバイトであっても労働基準法違反となります。従業員を解雇する場合、30日以上前に予告するか、予告しない場合は手当を支払う義務が課せられます。これは「労働基準法 第20条」により定められています。

    30日以上前に予告する場合は、確かに解雇予告をした証拠を示すために、解雇予告通知書の交付も必要です。


  • 有給休暇が付与されない
    有給休暇が付与されない場合、労働基準法違反とみなされます。アルバイトも含めすべての労働者は、半年以上雇用され、かつ全労働日の8割以上出勤していれば、年に10日以上の年次有給休暇が付与されるようになりました。

    そのため、雇用主は少なくとも年に5日は、有給休暇を取得させる必要があります。これは、近年の働き方改革によって、有給休暇に関する法律が変更されたことで生じた義務です。


アルバイト先の労働基準法違反の相談先


  • アルバイト先で労働基準法違反と思われる状況があることを知った場合、相談できる窓口が公的に設けられています。2つのポイントから解説します。


  • 労働基準監督署に相談できる
    アルバイト先での労働基準法違反について相談できる公的な窓口が、労働基準監督署です。労働基準監督署は、労働基準法に基づいて、事業場に労働基準違反がないか監督します。

    加えて、法令関連の各種届出の受付や相談対応、労働環境の安全や健康などに関する指導、労災保険給付などを担っている厚生労働省の出先機関でもあります。

    別名「労働者のための警察署」とも呼ばれています。


  • 労働基準監督署ができること
    労働基準監督署は、労働基準法違反の摘発・是正に向けて、強力な権限を行使できます。事業場で労働基準法違反が見つかった場合、是正指導や立ち入り捜査を行ったり、違反者を逮捕したりするなどの対応が可能です。

    労働者は労働基準監督署への接触を外部に知られたくない場合、匿名で相談することもできます。


まとめ


  • アルバイト先で見受けられる労働基準法違反は、残業代が支払われないなどの「給与に関連する違反」、休憩時間が付与されないなどの「労働時間に関する違反」、ノルマ未達成のペナルティなどの「社内規定に関する違反」の主に3つに大別されます。万が一アルバイト先で労働基準違反が見受けられる場合、労働基準監督署へ相談するようにしましょう。

    そして、労働基準法違反を避けるには、求人メディアでアルバイトを探す際、労働条件など詳しい情報をしっかり確認するのがおすすめです。

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