ドラッグストアアルバイト特集
登録販売者の仕事がなくなる?資格の将来性や取得するメリット・学習方法を解説
登録販売者の資格に関して「取得しても意味がない」「途中で失効する」など、インターネット上ではさまざまな誤解や噂が散見されます。しかし、実際には登録販売者の仕事がなくなる可能性は低く、一度資格を取得すれば原則失効しません。この記事では、登録販売者の概要や将来性、資格取得への向き・不向きなどについて詳しく解説します。
登録販売者試験は誰でも受験可能ですが、資格を取得すると職場で重宝されます。ここではまず、登録販売者の仕事内容について解説します。
登録販売者は、2009年の改正薬事法により新設された資格です。資格を取得すると、ドラッグストアや薬局において、一般用医薬品(OTC医薬品)を販売する権限を持ちます。登録販売者が新設された目的は、薬剤師の負担軽減と医薬品販売店舗の増加を図るためです。
登録販売者は、単に薬を販売するだけではなく、顧客とのコミュニケーションを通じ、適切な商品選択ができるようにサポートします。ただし、調剤業務は薬剤師のみが行えるため、登録販売者の業務範囲には含まれません。
登録販売者試験を受験する際、特別な条件は不要です。2015年4月以降、年齢・性別・学歴・実務経験に関わらず、誰でも受験できるようになりました。ただし、1人で売り場に立つには、試験合格後、過去5年以内に2年以上の実務経験が必要です。
一方、薬剤師の受験資格を得るには、6年制薬学部の卒業が必須であるなど、より厳しい条件をクリアする必要があります。
近年の登録販売者試験の合格率は、40%程度で推移しています。厚生労働省の「これまでの登録販売者試験実施状況等について」をベースに、登録販売者試験の受験者数・合格者数・合格率を以下にまとめたため、参考にしてください。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
---|---|---|---|
令和元年 | 65,288 | 28,328 | 43.4 |
令和2年 | 52,959 | 21,953 | 41.5 |
令和3年 | 61,070 | 30,082 | 49.3 |
令和4年 | 55,606 | 24,707 | 44.4 |
令和5年 | 52,214 | 22,814 | 43.7 |
2021年8月1日の「2分の1ルール」の撤廃を受け、登録販売者の必要性が低下するのではないかと心配する声があがっています。このルールは「店舗の営業時間の半分以上において、薬剤師または登録販売者が常駐していなければ、一般用医薬品の販売を行えない」というものでした。
ルールが撤廃されると一般用医薬品を扱う店舗が増える反面、有資格者がいない時間帯には、服薬の相談ができない状況が生じる可能性があります。
ルールの撤廃後、コンビニエンスストアのような小売店も、一般用医薬品の販売を開始しました。限られた時間でも、薬剤師や登録販売者を配置して一般用医薬品を販売すれば、一定の需要が見込めると考えられます。しかし、登録販売者や薬剤師がいないと、一般用医薬品を販売できない事実に変わりはありません。
一般用医薬品の販売店舗が増える可能性も相まって、登録販売者の仕事は今後も一定の需要が保たれるでしょう。
ここでは、登録販売者の需要が保たれる理由を、近年の環境や将来の展望に関して解説します。
前述のとおり、登録販売者は2009年に誕生した比較的新しい資格です。また、2分の1ルールの撤廃により一般用医薬品の販売場所が拡大したことを受け、専門知識を持つ登録販売者の需要は保たれると推測されます。
近年の一般用医薬品の販売環境に触れつつ、登録販売者の将来性について解説します。
地域包括ケアシステムの確立にともない、登録販売者の需要は今後も維持されると考えられます。このシステムは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を、一体的に提供する取り組みです。また、システムの確立には、医薬品に関する専門知識を持つ登録販売者が不可欠です。
国が推進するセルフメディケーションとは、軽度な体調不良を自身で管理する取り組みのことです。セルフメディケーションの概念が浸透すれば、人々はより積極的に健康管理を行うようになり、一般用医薬品の需要も高まると予想されます。結果として、登録販売者の需要が拡大すると考えられます。
一般用医薬品の遠隔販売の普及も、登録販売者の需要が続くと予想される理由の1つです。消費者はインターネットを通じて登録販売者に薬の相談をし、近隣のドラッグストアで医薬品を購入できるようになります。専門的なアドバイスを提供できる登録販売者は、需要が拡大するでしょう。
以下では、登録販売者の資格を取得するメリットを解説します。キャリア形成やプライベートでの健康管理に向け、資格取得に取り組みましょう。
登録販売者の資格を取得するメリットは、医薬品に関する体系的な知識が身に付くことです。資格取得に向け勉強する過程で、薬の基礎知識、販売技術、人体の仕組みなど、医薬品販売に必要な情報を体系的に学べます。
薬事法規や制度についての理解も深まるため、販売上のトラブルを防ぎやすくなります。有資格者として顧客との信頼関係を築きけると、より適切なアドバイスが可能です。また、登録販売者は医療福祉分野でのキャリアの基礎となるため、将来の選択肢も拡大できるでしょう。
登録販売者の資格を取得すると、キャリアアップに大きく貢献します。たとえば、昇進や転職・就職の際に資格がある人は、有利になります。経験を積むと、将来的に店舗管理者として独立も可能です。他にも、以下のように販売登録者の資格を活かせます。
登録販売者の資格取得は、プライベート面でも大きなメリットをもたらします。一般用医薬品に関する専門知識を身に付けると、身の回りの人の健康相談に適切に対応可能です。また、それぞれの健康状態や体質に合わせて、一般用医薬品を提案できます。さらに、一般用医薬品の正しい使用法を伝えられると、周囲の健康への意欲を向上させられるでしょう。
ここでは、登録販売者の資格を取得するために必要な勉強時間や、効果的な勉強方法について解説します。
登録販売者の平均勉強時間は、200時間~400時間とされています。1日あたり2時間勉強すると、資格取得に3か月~6か月程度を要する計算です。ただし、平均勉強時間はあくまで目安であるため、事前知識や勉強方法によって時間は変わります。登録販売者の試験範囲は、以下の5分野です。
登録販売者は独学でも十分に取得可能であり、おすすめの手法は反復学習です。反復学習では、知識の土台となるテキストでの学習や基本的な演習を繰り返して、知識の定着を図ります。
たとえば、過去問題に取り組む場合は、過去5年分くらいの分量を何度も繰り返し解き、出題傾向や知識を定着させましょう。登録販売者の資格の回答方式はマークシート方式(択一式)であるため、1日3問程度でも隙間時間に解き続けると、効果的に学習できます。
基本的に、他の資格試験と同じ学習方法で問題ありませんが、余裕があれば厚生労働省の「登録販売者試験問題作成に関する手引き」も、参考にするとよいでしょう。
通信講座で専用のテキストで学習すると、より効果的に登録販売者の資格取得を目指せます。オンライン講座であればスマートフォンでアクセスできるため、隙間時間を有効活用して学習することが可能です。ただし、通信講座を受講する場合は、数万~数十万円の費用がかかることを考慮しておきましょう。
登録販売者の資格には有効期限がなく、資格そのものは消失しません。ただし、試験に合格していても、店舗管理者になるには一定以上の実務経験が必要です。たとえば、店舗管理者になる条件の1つとして「過去5年間のうち薬局、店舗販売業、または配置販売業において、業務に従事した期間が、通算して2年以上ある人」があります。
以下では、登録販売者の資格取得がおすすめの人を紹介します。キャリアを意識して、自身に資格が必要かどうかを検討しましょう。
小売業界でキャリアを築きたい人には、登録販売者の資格取得をおすすめします。2分の1ルールの撤廃により、さまざまな小売店で一般用医薬品の販売が可能になりました。勤務中の職場で医薬品の取り扱いが始まったときに、資格があれば即戦力として活躍できます。将来、自身で店舗を開く際にも、医薬品を取り扱える店舗を持てる可能性があります。
販売士は、店舗における小売・接客の知識やスキルを学習する資格です。資格取得を通じてマーケティングや企画などを学習できるため、経営や広告関係の業務スキルが身に付きます。
販売士と登録販売者を取得すれば、医薬品やその他医療福祉分野において、広告担当や顧客対応などキャリアの幅を広げられます。独立開業したときも、自社のマーケティングをする際に、販売士側の知識や経験が役に立つでしょう。
薬膳コーディネーターの取得を目指す人にも、登録販売者の資格取得がおすすめです。薬膳コーディネーターは、体調不良をよくし、健康な身体づくりを促す薬膳について学習する資格です。登録販売者の試験範囲は、漢方の知識と深く関連しています。両方の資格を取得すると医薬品と食事療法の両面から、健康にかかわる知識を身に付けられるでしょう。
登録販売者は、一般用医薬品を販売できる資格です。将来的に登録販売者の仕事がなくなる可能性は低いと予想されるため、登録販売者になりたい人は資格の取得を検討してみるとよいでしょう。
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